宋美玄は人生100年をどう歩く?~安渕の未来ダイアログ 第5回

#お金 #安渕の未来ダイアログ #人生100年 #インタビュー

昔のように一部の特別なひとだけでなく、私たち自身が「人生100年時代」を当たり前の未来として歩むようになった今日。いまを生きる一人ひとりにとって、60歳ごろを境に定年退職して80歳で人生の幕を閉じる、という“よく語られてきた”人生計画は当てはまらなくなり、ロールモデルとなる存在も見つけづらくなっています。

さらに、日本では少子化と高齢化というマクロな事柄も将来に不安を感じる要因となっています。こうした状況を俯瞰すると、「こんなふうに生きていけばいいだろう。こんな立場にいれば安泰だ」といった“安全地帯”がどこにもないと分かり、これからのことをポジティブに想像できない、との気持ちも浮かんできてしまいそうです。

そんななかでも、不安に捉われ過ぎずに自分のペースで歩んでいくにはどんなチカラを育めばいいのでしょうか?

第5回『安渕の未来ダイアログ』では、産婦人科専門医、性科学者であり、女性の健康や子育てなどについての積極的な発信が女性から圧倒的に支持されている宋美玄(そん みひょん)さんを迎え、人生100年時代を生き抜くために必要なチカラと知識、発想について考えてみました。

宋美玄さんと人生100年~最後に強いのは孤独に強いひと~

安渕:5回目となる「安渕の未来ダイアログ」。今回は、同じ兵庫県出身の宋美玄さんに登場いただきました。まず、美玄さんにとって、「人生100年時代」と聞いて思い浮かべることは何ですか?

美玄さん:私の祖母がいま97歳くらいなので、まさにもうすぐ人生100年ですね。昔なら70歳くらいが人生の終末期と言われていましたが、随分変わったと思います。

祖母は「もういつ死んでもいい」と言うけど、そう言い始めてから15年くらい元気なままです(笑)。彼女は孤独をまったく怖がらない性格で、「家にテレビさえあればいい」と、いつも言っています。私自身はこれまで、たくさんの友達を作ってきましたが、彼女を見ていると「最後に強いひとは、孤独がなんでもないと感じるひとなんやろうな」と、思います。

安渕:それは、ある種の生命力なのかもしれませんね。

いま「孤独」というキーワードを聞いて、在宅テレワークのことを連想しました。アクサ生命でも新型コロナウイルス対策の一環で在宅テレワークを実施したのですが、仕事のパフォーマンスが上がるひとと下がるひとがいることが分かりました。この、パフォーマンスが上がるひとの属性のひとつが「孤独に強いひと」だったという面があります。違う言い方をすると、「自律的・自発的に人生を生きられるひとが強い」ということかもしれません。

家族やパートナーがいたとしても、仕事を一緒にするわけにはいかず、また、オンラインでつながっていたとしても接続が切れたらひとりになって仕事をしなくてはならないですよね。普段、オフィスでなら「今のってどう思います?」と話しかけられるけれど、それができない環境だったわけです。そうした状況において、孤独耐性があるというのは「強さ」になるのだと思います。

美玄さん:そうかもしれませんね。ひとの人生は最初の方にいろんなバリエーションがあると思うんです。学校に行ったり、働いたり、結婚したり、離婚したり、結婚しなかったり、子どもを産んだり、産まなかったり…。男性はどうか分かりませんが、20代~30代の女性は、友達同士だったとしても、誰が先に結婚するか、子どもを産むか、といったプライベートの変化で話が合わなくなって疎遠になることもあります。

ですが、一般的に女性の方が長寿である傾向が高いので、よっぽど年下と結婚しない限り、子どもは巣立ち、夫とは死別することになるでしょう。つまり、結婚していてもいなくても、高齢になったら結局はひとりになる、ということです。そうすると、最期に近づくとやはりひとりになるのかな…と感じます。

だから、女性は集まると「老後はみんなでシェアハウスにでも集まって暮らそうか!」みたいな話になるんですよ。

安渕:それはいいですね! 人生100年時代には「家族はいなくてもどこかのコミュニティに属する」という感覚を持つのが大事なのでしょう。最晩年にシェアハウスで共同生活する、というのは、「近過ぎないし、遠過ぎない」というコミュニティのあり方かもしれませんね。

「人生100年時代」のロールモデルはいない

美玄さん:いま私は44歳だからなのかもしれませんが、「人生100年時代」と聞くと先に向かうほど霧に閉ざされたように感じます。

例えば、医者としてのロールモデルは周囲の先輩方を見ていると見つかります。しかし、「人生100年時代」のロールモデルと言われると、思い浮かばないのが正直なところです。今年65歳になるという安渕さんには、「人生100年時代」のロールモデルはいますか?

安渕:いないですね!確かに自分より年上で元気なひとはいるけど、属性がだいぶ違うから参考とは少し違うように感じています。だから、自分のなかの考えや理想の姿を100歳まで伸ばしていって、自分でロールモデルを考えるしかないと思っています。考えてみれば、もともと「自分は他人とは違って当たり前」と思っているので、ロールモデルを求めていないということもありますが。

美玄さん:やっぱり安渕さんもロールモデルが見つけられてないんですね。

私は、人生は楽しむことも大事ですが、何よりまずは食べていかないといけない、と思っています。それを踏まえてロールモデルを探そうと医者として大成功した先輩方を見ると、50歳くらいで医者の世界で凄く認められて教授になっていても、70歳くらいで再び職探しをしている、という現実もあるわけです。

そんな姿を見ると、先々生きていくのは大変やな、と。最近は、人生って「一丁上がり」がないのかもしれないな、と思い始めています。

安渕:105歳で天寿を全うするまで医師であり続けた日野原重明先生は、医者の「人生100年時代」のロールモデルかもしれませんね。実は、私の父も外科医として国立病院で勤めたのち、民間の病院に移って78歳で亡くなるまで、55年間、ずっと現役だったんですよ。

美玄さん:それは誰かが安渕さんのお父さまを雇っていた、ということですよね。実は、私はそこが心配なんです。

まず、今回のコロナ禍で「食いっぱぐれがない」と言われてきた医者でも、「(患者さんの数が減れば)食いっぱぐれるんだ」というのを目の当たりにしてしまいました。

さらに、これから人口がどんどん減少することが分かっています。特に、団塊の世代がいま70~73歳くらいだとすると、あと20年もすると人口のボリュームゾーンが一気に減少することになります。一方で、10年前くらいから「医師不足」と言われ、医学部の生徒を増やしてきたので、今後、若手の医者がすごく増えることになることも予測できます。

そうすると、近い将来“医者余り”の状況ができてくるでしょう。そんな20年後、70歳近くになった私を雇ってくれる医療機関はあるのかな?と思ってしまうんです。

安渕:なるほど。かつては安泰と言われた医者だって、「人生100年時代」のキャリア形成を考えざるをえない、と。

美玄さん:そうです。これは私にとって最近出てきた心配事ではありません。

葛藤はありながらも親の勧めの通りに医学部を目指したのは、日本人ではない家に生まれたこともあって「一般企業への就職は無理だろう」と考えたことや、「医師免許を取れば生きていける」という思いがあったからです。

ただ、それでもどこか不安で、ほとんどのひとが「医者になれたら人生安泰」と考えるなか、私ひとり「絶対そんなことは言い切れない!」とずっと思っていました。

先ほどロールモデルとして日野原先生が挙げられましたが、日野原先生が生きて医者としてご活躍された時代と、私がこれから生きていく時代には、やはり大きな違いがあるのだろうと感じます。

これからの医者が果たす役割は、いかにひとびとのQOLを高めるか

安渕:そうすると、医者はいまは「病気を治すひと」ですが、これからは「病気にならない社会を目指すためのパートナー」というふうに担う役割を変える必要があるかもしれませんね。

美玄さん:おっしゃる通り、予防医療は今後すごく重要になると思います。私の専門である婦人科系でも、世界的には予防できるとされていながら日本国内で有効な手段を採らず結果的に予防できていない病気もあります。

また、実際に病気になった時、自費負担が諸外国に比べて極めて低いので、予防に不熱心であるという面もあります。こうした問題に対して医者が役立てることは多いでしょうし、潜在需要もあると考えています。

例えば、近年、女性の社会進出が進み、より高い地位に就く女性も出てきましたが、生理がある世代はPMSや生理痛が、40~50代以降は更年期などの影響で、メンタルや体調に不調をきたすことも多くなります。

そうした身体のリズムの影響で、40~50代の女性の生産性が埋没しているとの指摘もあります。特に、婦人科系疾患(子宮頸がんや乳がん、子宮内膜症など)を抱えて働く女性に限ると年間の医療費支出と生産性損失の合計は少なくとも年間6.37兆円にも上るとの報告*が出ているほどです。
*日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査(2016)」

ただ、これも解決の糸口がありますし、実際に女性の産婦人科医などは生理や更年期障害などによる不調を自分でコントロールしています。それがまだ一般的になっていない背景には、女性たち自身がまだ「女性はホルモンや生理に振り回されるのが当たり前だ」と思い込んでいるフシがあるからだと考えられます。

ヒトは男女どちらでも男性ホルモン・女性ホルモンが分泌されますが、女性は50歳くらいから女性ホルモンの分泌が急に落ちてしまいます。一方、男性はいずれのホルモン分泌もゆるやかな上、男性ホルモンが多すぎると一部が女性ホルモンに転換することが分かっています。そのため、70歳くらいになると、女性より男性の方が女性ホルモン(エストロゲン)が多くなる、なんてこともあるんですよ。

このようなホルモンバランスの崩れに対応するため、女性の場合はホルモン注射に保険が適用されています。しかし、いまでも「何もしないことが自然であり、健康だ」と思い込んでいるひとが多く、それによってむしろ健康課題が生じている場合もあります。これは生理痛でも同じことが言えます。

そもそも、出産回数や初潮の時期など女性の身体を取り巻くことは、昔と随分違いがあります。それにも関わらず、昔からの価値観を基準に判断することが最適か、ということを考え直してみる必要があるでしょう。

例えば約100年前は子どもを5~6人産むことなんて珍しくなく、妊娠出産の経験が8回程度にもなったという時代でした。その頃には、生理の回数は約50回程度だったと推算されています。一方、現代では妊娠出産の回数は2回程度で、生理の回数は昔に比べて約9倍の約450回になっていると考えられています。そうした違いから、月経困難症など子宮にさまざまなトラブルが出やすくなっているわけです。

こうした変化を踏まえ、子どもがいらない期間は低用量ピルや黄体ホルモン注射などで生理を止めて子宮を休ませておけば、身体への負担も軽減されるし、がんも減る可能性が期待できると言えます。

安渕:歴史的に女性を取り巻く社会の環境が変わってきていて、女性の身体に起きることも大きく変わっているから、それに対応していこう、ということですね。

美玄さん:そうです。排卵や生理が健康の象徴であると捉えられがちですが、炎症が起きているわけですから身体にとってはやはり負担があります。

これに対し、最近は、以前よりホルモン量が少ない低用量ピルが用いられるようになっています。多くのひとが「生理がこなくて大丈夫なんですか?」と心配しますが、低用量ピルのメリット・デメリットだけでなく、そもそも昔のひとはそんなに生理がくるような生活ではなかったんですよ、という話もしています。

女性は、生殖可能年齢の間は多くの場合、生理・妊活・妊娠・出産に関わり、その後はみんな更年期で閉経し、老年期に移行して終末期を迎えます。今後、「人生100年時代」には、閉経後の期間が人生のなかでも多くを占めることになるでしょう。その期間をいかに健康でQOLを高く過ごせるか?というテーマを、私のこれからのライフワークにしようと思っています。

「第3次ベビーブーム」がこなかった日本の現実

安渕:社会全体のQOLという意味では、少子化と高齢化について不安を感じているひとが多いようです。個人単位で見ても、恋愛して結婚し、出産に至るまでの道は決して簡単ではなく、これも不安の一因であると言えるでしょう。そうした先行きの不透明さから、社会全体が憂うつな気持ちになっていたり、長生きすることが不安だ、と感じるとも考えられます。

美玄さん:若い世代が高齢者を支えたり肩車する図式は昔から話題になっていましたが、この数年で担い手側の負担はもっと大きくなっていくことでしょう。

日本の人口学的な特徴として、戦後すぐのベビーブーム、昭和49年くらいをピークに起こった第2次ベビーブームの次に「第3次ベビーブームが起こらなかった」という指摘があります。

これは、第2次ベビーブームの世代が就職氷河期に飲み込まれて非正規雇用に甘んじるしかなくなり、生活が不安定化したことで結婚が難しくなってしまったことが原因になっていると考えられています。

ただ、人口減については、これまでは実際の人口は多いし、数年前まではずっと出生数がギリギリ100万人を保っていられたので問題視されてこなかったと言えます。これが日本にとって最後の人口ボーナス(増加)社会だった、と思います。

しかし、とうとう第2次ベビーブーマーが46歳くらいに差し掛かり、ほとんどが生殖年齢を卒業してしまったことで、急に出生数が、ガクガクっと減ってしまいました。2019年は86万人にまで落ち込んでおり、私見ですが、これから先10年で60~70万人くらいになる可能性もあります。

暗い話ばかりになってしまいますが、このような状況では、子どもに対する産業は今後どんどん潰れてしまうかもしれません。そのため、待機児童問題が叫ばれたとしても、本腰を入れてこなかったのではないか、と勘ぐってしまいます。

安渕:一時的なことだから、投資してもすぐに過剰になってしまうからと。

美玄さん:そう思います。私は政府の少子化対策の委員を2期務めましたが、その当時は第2次ベビーブーマーがまだ生殖年齢だったので「いまそのひと達に、もうひとり頑張って産んでもらえるような環境を作れば、人口が増える!」と言っていたのですが、国から出た予算やその使い道は十分なものではありませんでした。

今になって「やばい!」と慌てていますが、「生殖可能年齢の女性が減るんだから、分かってたことやし!」という気持ちです。

そういったこともあり、短期的には産業に再編が起こると考えています。私も産科だけで経営していくのはもう無理だと考え、人生100年時代の女性のヘルスケア、という考え方にシフトしています。

安渕:それは女性が長く生きる上で、身体の健康とこころの健康を支える、ということだと思います。我々も保険会社として、身体の健康とこころの健康に加え、経済的な安心をもたらす「お金の健康」の大切さを訴えて、長い人生で起こるライフイベントや一人ひとりが思い描く夢や理想を叶えるお手伝いをしていきたいと考えています。

女性に睡眠時間を、男性に家庭参加の機会を

安渕:冒頭でテレワークについて触れましたが、今後もっとテレワークが普及すると、仕事と家庭と社会が密接につながるようになると想像できます。そうしたことから、ライフスタイルの変化が起きるかもしれませんし、家事や子育てについても向き合い方が変わらざるを得ないのではないですか。

美玄さん:例えば、妊婦は34週になると産休に入って出勤しなくていい、というふうになっていますが、もし在宅で仕事ができて母体が安定している状態なら、陣痛がくるまで働ける場合もあるかもしれません。

一方、男性だって在宅ワークができるなら、家庭と仕事を女性と同じように両立できるようになるはずです。外出自粛のおかげで、そうした動きは出てきたかもしれません。

とはいえ、「俺は仕事をしているから、ご飯作って」とか「子どもはあっちにやっておいて」というひともいるようですが、家に帰ってこないよりはいいし、いままで以上に「あなたもやれ!」と言える環境になってきたと思います。

新型コロナウイルスが問題になる以前、少子化対策で一番大事とされていたのは、「男性の家庭参加」でした。女性は家事と育児で睡眠時間が世界的にも圧倒的に短いし、男性は仕事ばかりで家庭参加率が低い、ということは周知の通りです。

さらに、男性も出産に立ち会う機会が増えていましたが、新生児を家に迎えて新しい生活が始まるとき、もう男性は日常生活に戻っていて、何なら妻と子どもが退院する日も知らない、ということも少なくなかったようです。そうなると、男性は、産後の女性がどんなふうに24時間を過ごしているのか、想像できないわけです。

想像力が働かないから「育休って休みやろ?」と言ってしまうのだとするなら、男性も2~3週間でもいいから新生児を育てるというのがどういうことなのか、育児インターンとして体験してみてほしいと思います。そうすれば、育児は本来とても楽しいということを分かち合えるでしょうし、「今日こうだったよ」という話に共感するだけでも母親の負担感は違うでしょう。

ひとり目を生んだあとのお母さんから、「2人目ほしいけど、夫のコミットがひとり目と同じくらいなら無理だ」という声はよく聞かれます。

少子化対策について、国から「子どもを産め」と言われたり、給付や補助金があるからといってどうこうできるものでもないでしょう。やっぱり、「次世代を育てることは楽しい、嬉しい」と感じ、幸せのひとつだと思われないと、少子化問題は解決しないと思います。

安渕:「次世代を育てる」というのは、本質的な喜びだと私は思います。経営者をやっていても、ひとが育つこと、次世代を育てることは、とても楽しく嬉しいことですから。家庭なら、なおさらですね。家庭自体が子どもの成長を素晴らしい喜びとして日々認識し、より楽しく暮らせるようにならないといけないですね。

美玄さん:新生児を育てる幸せをもっと、朝から晩までずぶずぶに知って欲しいです。海外では男性育休の取得だけでなく、時短制度の活用や週4勤務で給与は8割、といった多様な働き方があります。日本のように、男性も女性もフルタイム勤務か時短勤務か、しかないままでは、持続可能ではいられなくなるのではないでしょうか。

宋美玄さんの人生100年の歩き方~“スーパーじゃないひと”も100年生きる時代に向けて~

安渕:さて、人生100年時代について話を戻しましょう。先ほど、身体の健康とこころの健康に加え、経済的な安心をもたらす「お金の健康」の話をしましたが、美玄さんはそれらを踏まえて人生100年をどう生きたいか、具体的に想像していることはありますか?

美玄さん:100歳まで生きる自信ないわー!(笑)

真面目な話をすると、私は医者ですが、生命保険に加入してローンを組んで自分のクリニックを開いたスモール経営者でもあります。

私が丸ノ内にクリニックを開いたのは、「働く女子を応援しよう!そうだ、丸の内には働く女性がいっぱいいるはずやからここがいい!」と考えたからです。しかし、新型コロナの影響で丸の内から働く女性がいなくなって、正直なところ“勝ちパターン”が見えなくなっている状態だったりします…。

そんなこともあり、自信を持って言い切れない部分もあるけれど、がんは別として、健康管理をしっかりできていれば人生100年は生きられるかな、とも思っています。

そんな私に限らず、いまは、いわゆる選ばれたすごいひとではなく、普通のひとが人生100年生きられる時代になっているのだと思います。医者の中でもスーパーウーマンではないひとでもキャリアと子育てを両立するようになってきました。

そういう普通のひとでも「身体とこころとお金の健康を保ち、人生100年幸せに暮らせました」と言える姿が見たいですし、私自身もいろんな方向を探しながらサバイブしていきたいと思っています。

安渕:楽々、サバイブしそうやけどね(笑)。確かに、ひとつの勝ちパターンだけでは長持ちしないので、いろんなパターンを探しに行く、その「探し続ける力」こそ、生きる力のような気がしてきました!

後付けの根性論を捨てて「変やけどおもしろい」を楽しもう

安渕:最後に、「人生100年時代」の生き抜き方について。美玄さんも私も関西出身ということもあり、物事を楽観的に捉えて楽しむ性分だと思います(笑)。しかし、いまの日本全体が仕事や家庭のことをあまりにも真剣に考えすぎているし、リラックスするのが得意じゃないひとが増えているように思います。

そういう様子を見て、私は、「緊張したまま走れないから、リラックスしないとダメ。緊張と緩和を組み合わせないと走り続けられないよ」とよく言うのですが、美玄さんは、生きる上で感じる重苦しさに対して、「もうちょっとこんなふうに考えたらええんとちがうん?」というアドバイスはありますか?

美玄さん:たまに34週を超えた妊婦さんが「仕事の引き継ぎがあるから」と産休に入らず、里帰り出産を断られるケースがあったりします。そこまで会社に自分を捧げる必要があるのか、家庭も仕事も子育てもそうですが、自分の魂を大事にしないといけないと思います。死ぬより逃げ出した方がマシ、とね。

安渕:確かに、仕事のいいところは命までは取られんことやからね(笑)。

美玄さん: 例えば、「生理痛や陣痛、困難は逃れないからポジティブに受け止めよう」みたいな後付けの根性論がありますが、そういうのが仕事などでも反映されるように思います。「ここで歯を食いしばってこそ一人前になれる」みたいな話ですね。

そういう根性論やそれに従わせようとする同調圧力に対して、みんなもっと「ケンチャナヨ(そんなに深く考えないでも何とかなる、大丈夫だよ)精神」で向き合ってもいいのではないでしょうか。

あとは、新しい考えやアイデアが出るとまず否定されることが多いと思いますが、まずダメなことを考える、というのはよくないですね。「違うことは新しい、変やけどおもしろい」という考え方が新しいことが始まるきっかけになる、と思います。

安渕:変なものはおもしろい、おもしろいものは楽しい、楽しいことはみんなでやろう、みたいな、素直な感覚から出てきたポジティブさを、もっと大事にしたいですね!


対談を終えて

「人生100年時代」というのは、光の部分も影の部分も当然あります。私の勝手な期待としては、宋美玄さんなら不都合かもしれない真実にしっかり向き合った上で、影であるものを必要以上には暗くせず、越えていくアイデアを持っているんじゃないかと思っていました。今回、対談という形で久しぶりに話をして、すでに「人生100年時代の女性のヘルスケア」というライフワークに目が向いているのが分かり、私だけではなく、読んだ方々の視野が広がり、時間軸の捉え方が長くなり、そして、前向きにものごとを考えられるようになると感じました。“普通のひとでも「身体とこころとお金の健康を保ち、人生100年幸せに暮らせました」と言える姿が見たい”という言葉には、まったく同感で、このために何が必要か是非掘り下げて考え、少しでも実現したいと思います。

美玄さんとは、かなり前に知り合っていて、以前にもいろんな話をしたことがありますが、違う世代、違うバックグラウンド、医師という専門性を持っている一方、ビジネスパーソンであり、また、多数派におもねらないストレートな意見を聴かせてくれる、貴重な友人でもあります。

最後に話してくれた、“後付けの根性論やそれに従わせようとする同調圧力に対して、みんなもっと「ケンチャナヨ(そんなに深く考えないでも何とかなる、大丈夫だよ)精神」で向き合ってもいいのでは”という心構えがより広がっていけば、世の中、もう少し生きやすくなるのではないでしょうか。


宋美玄(写真左)
産婦人科専門医・医学博士・FMF認定超音波医・「丸の内の森レディースクリニック」院長。2001年に大阪大学医学部医学科を卒業後、大阪大学医学部附属病院、りんくう総合医療センターなどを経て川崎医科大学講師に就任。09年ロンドンのFetal Medicine Foundationへ留学。胎児超音波の研鑽を積む。15年に川崎医科大学医学研究科博士課程を卒業。周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、インターネット、雑誌、書籍で情報発信を行う。産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上を目的とし活動中。兵庫県神戸市出身。

安渕聖司(写真右)
アクサ生命保険株式会社 代表取締役社長兼CEO。1979年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱商事株式会社に入社。東京、仙台、ロンドン勤務を経て、90年ハーバード大経営大学院修了。99年リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。リップルウッド・ジャパン株式会社エグゼクティヴ・ディレクター、UBS証券会社マネージングディレクター、GE コマーシャル・ファイナンス・アジア上級副社長を経て、09年GE キャピタル・ジャパン社長 兼CEO、17年ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社代表取締役社長を歴任、19年より現職に就き現在に至る。兵庫県神戸市出身。

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