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​がん保険の診断一時金はいくら必要?

適切な金額の考え方や確認すべきポイントを解説

​公開日:2026/1/26

​がん保険の診断一時金は、がんと診断された際に、まとまった金額を受け取れる給付金です。設定できる一時金の金額は50万円から300万円程度と幅広く、どれくらいの金額を設定すべきかで迷う人もいるでしょう。


必要な一時金の金額は、治療費だけでなく生活費や住宅ローンの支払い、さらには先進医療や抗がん剤治療などの費用も考慮して決める必要があります。


本記事では、がん保険の一時金がいくら必要なのか、その必要性や適切な金額の決め方などを解説します。


​がん保険の診断一時金とは

​がん保険の診断一時金は、医師からがんと診断確定された時点で受け取れる給付金です。入院や手術の有無に関わらず、診断があれば支払われるため、治療開始前の経済的な不安を解消できる保障です。がん保険の中には、2回目以降も一時金の受け取りが可能なタイプもあります。


がん細胞は、時間をかけて数を増やしたり他の場所に移動しやすくなる性質があります。診断一時金を複数回受け取れるタイプのがん保険は、再発や転移に備えるうえで有用です。


ただし、2回目以降の受け取りには「前回の診断から2年経過」「入院または通院による治療を開始」といった条件が設けられているケースが一般的です。


​がん保険の給付金の種類

​がん保険に加入している場合、がんと診断された時やがん治療中などに、所定の条件に該当すれば給付金を受け取れます。具体的にどのような給付金があるのか、種類や内容を解説していきます。


​診断一時金(診断給付金)

​診断一時金(診断給付金)は、医師からがんと診断された時に給付されるものです。診断後、手続きをすればまとまった金額が支給されるため、治療費の確保がしやすいでしょう。


なお、給付金の使いみちは自由なため、がん治療費以外にも生活費の補填や退院後の通院費、がん治療に伴うウィッグの購入費用などにも利用できます。


がん診断一時金の金額は、がん保険の種類や契約内容などにより異なりますが、一般的に50万円・100万円・200万円などから選択可能です。


がん診断一時金は、保険期間を通して1回のみの給付となる商品と、複数回給付される商品があります。


​治療給付金

​治療給付金は、がん治療を受けた月ごとに定額で支払われる給付金です。抗がん剤治療やホルモン剤治療、放射線治療が主な対象となり、入院・通院を問わず治療実績に基づいて給付されます。


月額10万円から30万円程度の給付金を設定するのが一般的で、治療が継続している限り毎月受け取れます。長期にわたる経済的負担を軽減できる点が、治療給付金のメリットといえるでしょう。


​入院給付金

​入院給付金は、がん治療を目的とした入院1日につき定額が支払われる給付金です。日額5,000円から2万円程度が一般的な設定範囲で、支払限度日数は保険商品によって異なります。


差額ベッド代は1日当たり数万円かかることもあり、個室を希望する場合においては、経済的負担を軽減するうえで重要な保障です。差額ベッド代だけでなく、入院中の食事代や家族の交通費などの負担も軽減できます。


​手術給付金

​手術給付金は、がん治療を目的とした手術を受けた際に支払われる給付金です。受け取れる給付金は、入院給付金日額の10倍から40倍程度が一般的な相場です。外来手術と入院を伴う手術で給付額に差を設けている商品も多く、手術の種類によって金額が変動します。


近年では、内視鏡手術やロボット支援手術(ダヴィンチ手術)などの低侵襲手術が普及しており、これらの新技術に対応しているかどうかも確認すべきポイントです。また、乳房再建術や形成術などの関連手術が保障対象に含まれるかも、特に女性は注意して確認する必要があります。


​通院給付金

​通院給付金は、がん治療を目的とした通院1日につき支払われる給付金で、金額は日額3,000円から1万円程度が一般的です。商品によって、入院後の通院のみが対象となるタイプと、通院のみでも給付対象となるタイプがあります。


抗がん剤治療や放射線治療の通院化が進む中、通院給付金の必要性は年々高まっています。ただし、支払限度日数が年間60日や通算1,000日などの制限があることが多いため、長期治療を想定する場合は注意が必要です。


特に働きながら治療を続ける人にとっては、通院保障の充実度は保険選びの重要なポイントです。通院のみで治療するがんもあるため、収入減や治療費負担の増加に備えるうえで、通院給付金は頼れる給付となるでしょう。


​がん保険の一時金の額を設定する判断基準

​がん保険の診断一時金は、50万円や100万円、200万円といったように保険会社が定めた金額の中から選択できます。


いくらに設定するかは、治療費にかかる費用や生活の補填に備えておきたい金額などによって判断すると良いでしょう。    


​高額療養費制度の計算

​高額療養費制度により、公的医療保険が適用される範囲内の医療費に関しては、自己負担額の上限が設けられています。70歳未満の人は、所得に応じて以下のように上限額が計算されます。

​所得区分

​自己負担限度額

​多数回該当※1

​区分ア

標準報酬月額83万円以上

​252,600円 + (総医療費※2 - 842,000円) × 1%

​140,100円

​区分イ

標準報酬月額53万円~79万円

​167,400円 + (総医療費 - 558,000円) × 1%

​93,000円

​区分ウ

標準報酬月額28万円~50万円

​80,100円 + (総医療費 -267,000円) × 1%

​44,400円

​区分エ

標準報酬月額26万円以下

​57,600円

​44,400円

​区分オ

低所得者(被保険者が市区町村民税の非課税者I

​35,400円

​24,600円

​出典:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」協会けんぽを参考に筆者作成

 

※1 1年間に3ヶ月以上の高額療養費の支給を受けており、4ヶ月目以降に自己負担限度額を超える場合

※2 総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)

  

限度額適用認定証を事前に申請しておけば、窓口での支払いを限度額までに抑えることができます。しかし、先進医療や差額ベッド代、食事代などは制度の対象外となるため、これらの費用は別途備えなければなりません。


​治療費の確認

​がんの治療費は、部位や進行度によって大きく異なります。厚生労働省の「医療給付実態調査」によると、令和4年度におけるがんの入院治療費の平均は以下の通りでした。

​診断名

​1日当たりの入院治療費の平均

​平均在院日数

​入院1件当たりの治療費

​胃がん

​46,862円

​14.7日

​688,874円

​結腸がん

​44,442円

​15.3日

​679,963円

​直腸がん

​51,752円

​15.3日

​791,798円

​肝がん

​49,489円

​13.6日

​673,051円

​肺がん

​52,052円

​14.1日

​733,932円

​乳がん

​65,780円

​9.4日

​618,330円

​※点数÷件数×10で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値を記載。


出典:厚生労働省「令和4年度 医療給付実態調査」を参考に筆者作成


上表の数字は総医療費で、患者の自己負担分は原則として3割です。また、高額療養費制度により、月々の負担額には上限が設けられます。


ただし、実際には入院中の食事代や差額ベッド代なども追加でかかります。差額ベッド代を1日2万円以上とすると、30日入院すれば60万円以上の出費です(差額ベッド代は病院によって異なります)。


先進医療を選択した場合、陽子線治療や重粒子線治療で200~300万円程度の費用がかかる可能性も想定しなければなりません。これらの費用は高額療養費制度の対象外となるため、家計への負担を和らげたい場合は、一時金でカバーする必要があるでしょう。 


​生活費補償期間の設定

​治療期間中の生活費をどの程度カバーするかも、一時金額を決める重要な要素です。がんの種類や病状次第では、治療期間が1年以上に及ぶこともあります。


会社員の場合、傷病手当金として標準報酬月額の3分の2が最長1年6ヶ月支給されますが、それでも収入は減少します。住宅ローンの返済や教育費など、固定費だけでも相当な金額が必要となるケースもあるでしょう。


なお、自営業者やフリーランスの人は傷病手当金がないため、より手厚い備えが必要です。休業中は収入が完全に途絶えるリスクがあるため、必要な一時金額を慎重に計算しましょう。


​既存保障の確認

​がん保険の一時金額を決める前に、既に加入している保険の保障内容を確認しましょう。医療保険に3大疾病特約や7大疾病特約が付加されている場合、がんの診断時に一時金が支払われることがあります。


会社の団体保険や共済保険でも、がん診断給付金が含まれているケースは少なくありません。住宅ローン契約時に加入する団信(団体信用生命保険)に付加できる3大疾病保障特約も、確認すべきポイントです。


複数の保険から重複して給付を受けられる場合もありますが、必要以上の保険料の支払いを避けるためには、既存保障を考慮した上で必要な金額を設定することが重要です。


​最終必要金額の決定

​さまざまな要素を総合的に検討し、最終的な一時金額を決定します。例えば、治療費60万円・生活費補填6ヶ月分120万円・その他諸経費20万円とすると、200万円を一時金として設定すれば安心できます。


将来的な見直しを前提とした設定も欠かせません。若いうちは最低限の100万円程度に抑え、家族が増えたタイミングで増額するという方法もあります。このように、一度保険に加入したあとも、ライフステージの変化に応じて見直すことが大切です。


​がん保険を契約する際の一時金の注意事項

​がん保険を契約する際には、診断一時金の保障対象について確認すべきことがあります。


「上皮内新生物」への対応や診断金の受給可能回数など、特に気を付けたい点について解説します。


​給付を受け取る回数は何回か

​がん保険の診断一時金が受け取れる回数を確認することも大切です。がん診断一時金は、最初にがんと診断された時に1回のみ給付されるものや、がんと診断された度に何度も給付されるものなどがあります。


がんは再発や転移の可能性があるため、複数回給付を受けられると安心です。


しかし、複数回受けられる場合でも、給付の間隔を所定の期間空けないといけない場合もあります。 そのため、契約時には給付回数を確認するとともに、複数回給付される場合はどのくらいの間隔が必要なのかも併せてチェックしましょう。


​上皮内がんが保障範囲に含まれるか

​がん保険によって、診断一時金の支給対象が悪性新生物のみのものと、上皮内新生物も含むものとがあります。


上皮内がんへの対応は、がん保険により主に次の3つのタイプがあります。

  • ​一般的ながんと同じ保障

  • ​一般的ながんよりも減額保障

  • ​保障対象外

​一般的ながんと同額の保障が得られるものもあれば、保障額が減額されたり対象外になったりするものもあります。


上皮内がんはがんのステージ0に該当し、必ずしもがん化するとは限らないものです。しかし早期に対処すべきものなので、保障を付けたい場合はがん診断一時金の支給対象になっているかを確認して下さい。


​免責期間 (待期期間)の有無

​がん保険には、契約してから保障が開始されるまで90日間の免責期間(待期期間)が設定されているのが一般的です。この期間中にがんと診断されても、給付金は支払われず、契約は無効となり保険料が返還されます。


この免責期間は、がんの自覚症状がある状態で加入することを防ぐために設けられています。終身タイプと定期タイプで免責期間の扱いが異なる場合もあるため、契約前に必ず確認しましょう。


なお、医療保険の3大疾病特約や7大疾病特約では、免責期間がない商品も存在します。また、がん保険でも2回目以降の契約更新時には、免責期間が適用されないケースが一般的です。


​給付金を一時金で受け取るメリット

​がん保険の給付金を一時金で受け取る場合、治療給付や入院給付とは異なるメリットがあります。診断確定時にまとまった金額を受け取れることで、経済的・精神的な安心感を得られるだけでなく、治療方法の選択肢も広がるためです。


​診断確定と同時にまとまった金額を確保できる

​がんと診断された直後は、治療方針の決定や入院準備など、さまざまな費用が発生します。診断一時金なら、入院や手術の有無に関わらず給付金を受け取れるため、初期段階での経済的負担を軽減できるでしょう。


セカンドオピニオンの取得には1回3万円から5万円程度かかることがあり、複数の医療機関を受診すれば10万円以上の出費となることもあります。また、PET検査などの精密検査を自費で受ける場合は、1回10万円程度の費用が必要です。


抗がん剤治療が通院で行われる場合、入院給付金では対応できませんが、一時金なら問題なく活用できます。100万円から200万円の一時金があれば、治療開始前の準備期間も含めて、安心して治療に臨めるでしょう。


​使い道が自由で多様な費用に対応できる

​診断一時金には、使い道に制限がありません。治療費はもちろん、生活費や住宅ローンの返済、さらには家族のサポートに必要な費用まで自由に使えます。


例えば、抗がん剤の副作用で脱毛した場合、医療用ウィッグの購入費用に充てられます。遠方の専門病院で治療を受ける場合、家族の交通費や宿泊費に充てるという選択も可能です。


​経済的な不安を軽減し治療に集中できる

​がん治療において、本人だけでなく家族も経済的な不安を感じる可能性があります。「治療中、家族に迷惑をかけたくない」といった心理的負担は、精神的なストレスとなりかねません。


十分な一時金があれば、先進医療も選択肢に入れることができます。また、仕事を休んで治療に専念でき、家族の生活を守れるでしょう。


​がん保険の一時金はいくら必要か

​がん保険の一時金がいくら必要なのかは、年代や家族構成、収入状況などによって異なります。最終的には、個々の状況に応じた適切な金額設定が重要です。


あくまでも一例にはなりますが、独身と子育て世帯では以下のように異なります。

​家族構成

​一時金の目安

​主な考慮事項

​独身

​100万円〜150万円

​・生活費の心配が比較的少ない

・治療費を中心に設定する

​子育て世代

​200万円〜300万円

​・教育費や住宅ローンの支払いがある

・家族の生活費を計算する

​貯蓄状況や働き方も考慮すべきポイントです。十分な貯蓄があり、がんの治療が長期化しても治療費を問題なくまかなえる場合、一時金を抑えても問題ないかもしれません。


会社員や公務員の人は傷病手当金があるため、休業中の収入保障があります。一方で、個人事業主は傷病手当金がありません。個人事業主は公的制度による保障が薄いため、より高額な一時金の設定が必要になるでしょう。


先進医療を視野に入れる場合は、さらに高額な設定が必要です。陽子線治療や重粒子線治療は約200万~300万円かかるため、これらの治療を希望する人は、300万円程度の一時金を設定すると安心です。


​がん保険の一時金は医療費控除の対象になる?

​がん保険をはじめ生命保険契約で受け取った給付金・保険金のうち、身体の疾病・傷害などに起因するものは税金がかかりません。そのため、がん診断一時金を受け取った場合でも非課税となり、確定申告をする必要はないとされています。


しかし、医療費控除を受ける際には注意が必要です。がん診断一時金を直接医療費を補填するため給付されたものと解釈する場合は、負担した医療費から差し引くことになります。


例えば、がんの医療費で50万円がかかり、一時金で30万円を受け取ったケースで考えてみましょう。一時金は差し引く必要がないため、「50万円-10万円=40万円」が控除対象です。


医療費控除による還付される額は、控除対象額に対してかかる所得税率によって決まります。例えば、所得税率が20%の場合、節税額は「40万円×20%=8万円」です。つまり、確定申告を通じて8万円が還付されます。
※記載の税務についてのお取扱いは2025年10月現在の税制に基づいた一般的なお取扱いをご案内しているものであり、実際のお取扱いとは異なる場合があります。また、このお取扱いは、将来変更される可能性があります。個別の税務などについて、詳しくは、所轄の税務署などに必ずご確認ください。


​がん保険の一時金の額は自身の状況に合わせて判断しよう

​がん保険の一時金をいくらに設定するかは、画一的な答えはありません。年齢や家族構成、既存の保障内容などによって、必要な金額は異なります。


​がん保険の診断一時金は、保険会社で指定されている金額から自身の状況に合わせて選択できます。いくらに設定すれば良いのか迷った場合は、がん治療にかかる費用や生活費の補填に必要な金額、がん保険以外から受けられる保障などを計算した上で決めると良いでしょう。


ただし、がん保険によって保障対象や内容、支給回数が異なるため、契約前に忘れずに確認することが大切です。


​アクサ生命ではがん治療に備える保険を取り扱っています

​アクサ生命では、診断一時金を受け取れるがん保険や、「手術」「放射線治療」「化学療法(抗がん剤治療)」などを保障するがん保険を取り扱っています。


がん保険の加入や見直しを検討している人はぜひ下記ページをご確認下さい。



■記事の監修者


名前:石野恆正(いしのつねまさ)
保有資格:トータル・ライフ・コンサルタント


生命保険会社の営業として、多くの家庭のライフプランの作成や保険の見直しサポート、新規提案などを経験。現在は独立し、生命保険、医療保険、社会保障制度を始めとする豊富な知識に加え、自身の資産運用の経験を活かしながら、金融関連記事の執筆や監修などを行っている。

​AXA-A2-2511-0825/9LJ