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上皮内新生物とは?がん(悪性新生物)との違いとリスク・保険での備えについて解説

​公開日:2026/08/05

​上皮内新生物とは、異常な細胞が表面的な層(上皮)にとどまり、まだ周囲の組織へ広がっていない状態を指します。「上皮内がん」と説明されることもありますが、一般的な「がん」である悪性新生物とは区別して扱われます。


早期に発見できれば、体への負担を抑えた治療を選べる場合がありますが、病変の種類や状態によっては進行する可能性もあるため、正しく理解しておくことが大切です。この記事では、上皮内新生物の意味やがんとの違い、治療の考え方、保険で備える際の注意点まで分かりやすくご紹介します。


​上皮内新生物とは

​まずは、上皮内新生物がどのような状態を指すのか、がん(悪性新生物)との違いと併せて見ていきましょう。


​上皮内新生物の基本(早期がんの一種)

​上皮内新生物とは、異常な細胞ができているものの、体表面や臓器の表面を覆う「上皮」という層にとどまっている状態です。「上皮内がん」や「ごく初期の病変」と説明されることもあります。

この段階では、異常な細胞が上皮とその下の組織を隔てる膜を越えて広がる「浸潤」はしておらず、血管などを通じて別の場所へ広がる「転移」もほとんどないとされています。


ただし、病変の種類や状態によっては、浸潤することで悪性新生物として扱われる段階に進む可能性があるため、医師の説明を聞いた上で今後の対応を検討しましょう。


​がん(悪性新生物)との違いと特徴

​上皮内新生物と悪性新生物の大きな違いは、異常な細胞が上皮の下にある基底膜を越えているかどうかです。基底膜とは、上皮とその下にある組織を隔てる薄い膜を指します。


上皮内新生物は、異常な細胞が基底膜を越えず、上皮の中にとどまっている状態です。一方、悪性新生物は、異常な細胞が基底膜を越えて上皮の下にある組織へ入り込む浸潤が起きている状態を指します。


さらに悪性新生物が進行すると、血管やリンパ管を通じてリンパ節や離れた臓器へ広がる転移が起こりかねません。つまり、上皮内新生物と悪性新生物は、浸潤や転移のリスクがある段階かどうかに違いがあります。


早い段階で見つかれば、体への負担が比較的少ない治療で済むケースもあるため、診断名だけで判断せず、病変が上皮内にとどまっているのか、基底膜を越えているのかを医師に確認することが重要です。


​上皮内新生物のリスクと主な種類

​次に、上皮内新生物が発生しやすい主な部位や放置のリスクについても確認しましょう。


​どんな部位に多い?代表的な例

​上皮内新生物は、さまざまな部位で見つかることがあります。厚生労働省の資料では、上皮内新生物を含む集計対象として、食道、大腸(結腸・直腸)、肺、皮膚、乳房、子宮、子宮頸部、膀胱などが示されています。


上皮内新生物は、部位によっては自覚症状がほとんどない段階で見つかるケースがあり、注意が必要です。症状の有無だけでは判断が難しいため、対象年齢やリスクに応じて、健康診断やがん検診を受けることが早期発見につながります。


参考:厚生労働省「令和5年 全国がん登録 罹患数・率 報告」 ※PDF p.36 38 表1-B


​放置するとどうなる?進行リスク

​上皮内新生物は、異常な細胞が上皮内にとどまり、基底膜を越えていない状態です。ただし、できた場所や病変の種類によっては、適切な対応をせずにいることで、異常な細胞が基底膜を越えて浸潤し、悪性新生物として扱われる段階に進む可能性があります。


進行のしやすさや治療の必要性は部位や検査結果によって異なり、すぐに治療が必要な場合もあれば、定期的に状態を確認しながら経過を見る場合もあります。そのため「症状がないから大丈夫」と自分で判断せず、必要な検査や治療、経過観察を受けることが大切です。


​上皮内新生物の治療と費用について



​続いて、上皮内新生物はどのように治療し、費用はどの程度かかるのかを見ていきましょう。


​主な治療の考え方

​上皮内新生物の治療法は、発生した部位や病変の広がり、体の状態などによって異なります。


大腸などの消化管にできた病変では、早い段階で見つかれば、お腹を切る手術ではなく、内視鏡で取り除ける場合があります。内視鏡治療とは、口や肛門から細いカメラ付きの管を入れて体の内側から病変を取り除く、比較的体への負担を抑えやすい治療方法です。


ただし、病変の大きさや広がりによっては、手術が必要になるケースもあります。また、乳房など部位によっては、手術で取り除く治療が中心になることが一般的です。


早期に見つかった場合は、体への負担を抑えた治療を選択できることもあるため、医師と相談しながら適切な方法を選びましょう。


​想定される費用の負担

​上皮内新生物の治療費は、発生した部位や治療方法、入院の有無によって変わります。早期の場合、日帰り治療や短期入院で済むこともありますが、手術が必要になれば入院費や検査費、通院費などの負担が生じます。


公的医療保険が適用される治療であれば、年齢や所得に応じて、自己負担は原則1~3割です。また、医療費が高額になった場合は、高額療養費制度により、同じ月に支払う自己負担額が一定の上限に抑えられることがあります。


ただし、高額療養費制度の上限額 は年齢や所得によって異なります。また、入院時の食事代や差額ベッド代など、公的医療保険の対象外となる費用は、高額療養費制度の対象にも含まれません。


さらに、治療後も検査や経過観察のために通院が続くことがあるため、治療費だけでなく、その他の支出もある程度の期間は続くと想定して備えておきましょう。


参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」


​上皮内新生物と診断された時に確認すべきポイント

​上皮内新生物と診断された時は、まず医師から説明された内容を整理することが大切です。病変がどの部位にあり、どの程度の広がりなのか、治療が必要なのか、経過観察で良いのかを確認しましょう。


併せて、治療を行う場合の方法や入院・通院の有無、治療後の経過観察の期間や頻度も把握しておくと安心です。説明を受ける際は、診断書や検査結果の名称、今後必要になる検査の内容も確認しておくと、後で保険会社へ問い合わせる際に役立ちます。家族と情報を共有しておくことも、不安の軽減につながります。


また、医療費の自己負担や公的制度の利用可否に加え、加入中の保険で上皮内新生物が保障対象になるかどうかも確認しておきましょう。診断名や治療内容によって給付の対象範囲が変わる場合があるため、保険会社や保険募集人、相談窓口に早めに確認することが大切です。


​上皮内新生物は保険で保障される?

​上皮内新生物と診断された場合、治療費や通院費などの負担が気になる一方で「加入している保険の保障内容で、必要な備えをカバーできるのか」と不安に感じる人もいるでしょう。


上皮内新生物は、がん保険の保障対象になることがありますが、がんとは扱いが異なる場合もあります。保障の有無や給付額、支払条件は保険会社や商品によって差があるため、事前に確認しておくことが重要です。


ここでは、がん保険で上皮内新生物がどのように扱われるのかをご紹介します。


​がん保険での扱いと商品による違い

​上皮内新生物ががん保険の保障対象になるかどうかは、保険会社や保険商品によって異なるため、事前の確認が欠かせません。


また、契約内容によっては上皮内新生物が保障対象外となり、給付金を受け取れないケースもあるため注意が必要です。


がん保険に加入している場合や新たに検討する場合は、契約内容を確認し、自分がどの範囲まで保障されるのかを把握しておきましょう。


​保険選びのポイント

​がん保険を選ぶ際は 、上皮内新生物が保障対象に含まれているかを必ず確認しましょう。併せて、がんと同じ金額が受け取れるのか、給付額が少なくなるのか、診断給付金・入院給付金・手術給付金のどこまで対象になるのかも確認しておくと安心です。


診断給付金については、何回受け取れるのか、1回当たりの金額はいくらか、再発や別の部位で診断された場合も対象になるのかをチェックしましょう。判断に迷う場合は、約款や契約概要を確認し、保険会社や保険募集人、相談窓口に問い合わせることが大切です。


保障を診断給付金の金額や対象範囲、支払回数などの面で充実させると保険料も高くなりやすいため、家計に無理なく続けられるかどうか、保険料と保障内容を比較して自分に必要な備えを検討してみましょう。


​上皮内新生物に保険で備えるべき?

​上皮内新生物は早期に見つかった場合、がん(悪性新生物)と比べると治療の負担を抑えられる可能性があります。しかし、治療費や検査費、通院費などが発生するケースがあり、部位や病変の状態によっては、治療後も継続的な経過観察や追加対応が必要になる場合もあるでしょう。


このような理由から、上皮内新生物も、経済的な備えを考えておきたいリスクの一つといえます。上皮内新生物が保障対象に含まれるがん保険に加入していれば、診断時に受け取れる給付金を、治療費や通院費、仕事を休んだ際の生活費の補填などに充てられます。


ただし、保障対象や給付額は商品によって異なるため、上皮内新生物の取扱いを確認した上で検討することが大切です。


​上皮内新生物への備えを検討しているなら

​上皮内新生物は、早期の段階で見つかれば、治療の負担を抑えられる場合があります。しかし、治療費や検査費、通院費が発生する他、部位や状態によっては経過観察や追加の対応が必要になることもあります。「早期だから大丈夫」と自己判断せず、医師の説明を確認しながら、経済的な備えも含めて考えておくことが大切です。


がん保険では、上皮内新生物ががんと同じように保障される商品もあれば、給付額が少なくなる商品、保障対象外となる商品もあります。自分に合った保障を選ぶには、上皮内新生物の取扱いや診断給付金の支払条件を確認し、必要に応じて保険会社や保険募集人、相談窓口に相談しながら、複数の商品を比較することを検討してみましょう。



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■記事の監修者


名前:田尻宏子(たじりひろこ)
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種


経歴:証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。

お金の初心者から上級者まで誰もが納得できる記事を書くのが得意。



名前:浜根冬馬(はまねとうま)
保有資格:証券外務員一種、銀行業務検定 法務3級・財務3級


経歴: 大学卒業後、第一地方銀行の営業として保険の新規提案や見直しサポートなどを経験。現在は独立し、生命保険や医療保険などの知識に加え、投資信託や株式投資をはじめとする自身の資産運用の経験を生かしながら「難しいことほどわかりやすい言葉で」をモットーに金融関連記事の編集・執筆を行っている。