入院費用の相場は?自己負担額を抑える方法
公開日:2026/07/27


医療保険を検討するなら「実際に入院した場合、いくらくらい費用がかかるのか」を知っておくことが大切です。
相場が分かれば、自己負担額はどの程度になりそう、どれくらい備えておくべきかイメージしやすくなります。正しく知って、保険の必要性や保障内容を冷静に判断できるようにしましょう。
この記事では、入院費用の相場や自己負担額を抑える方法について解説します。
平均的な入院期間と入院費用
まずは、データをもとに近年の入院事情を見ていきましょう。
入院するとどんな費用がかかるのか、その相場、さらに平均的な入院日数や入院の原因についても紹介します。
入院にかかる費用の内訳
入院時にかかる費用には、例えば次のようなものがあります。
【病院に支払う費用】
・入院基本料
・治療費(診察・検査費用、手術料、薬剤料など)
・食事代
・差額ベッド代
・診断書作成料
など
【その他の費用】
・交通費
・衣類代
・日用品代
など
「差額ベッド代」とは、個室や少人数の病室などでの入院を希望した場合にかかる費用で、公的医療保険の対象外です。治療内容によっては、保険が適用されず全額自己負担となる「先進医療の技術料」などがかかるケースもあります。差額ベッド代や先進医療の技術料など、公的医療保険の対象外で全額自己負担となる費用は高額療養費制度の対象にはなりません。
また、入院にかかる費用は、病院に支払う分だけではないので注意が必要です。
例えば入院中に使うパジャマやタオルなどの購入費、病院まで向かうための交通費(家族が見舞いや付き添いに来るための費用も含む)なども考慮しておく必要があるでしょう。
入院のおもな原因
厚生労働省が2023年に行った調査によれば、入院の推計患者数は約118万人となっています。どのような傷病が原因で入院するケースが多いのか、見ていきましょう。
特に入院患者数が多い5つの傷病は下記の通りです。
傷病分類 | 入院 総数 |
統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害 | 約12万6,400人 |
脳血管疾患 | 約10万9,400人 |
悪性新生物(がん) | 約10万6,100人 |
骨折 | 約9万6,300人 |
筋骨格系および結合組織の疾患 | 約7万3,600人 |
※厚生労働省「令和5年(2023)患者調査 結果の概要 1 推計患者数 表2」をもとに筆者作成
同調査では、最も入院者数が多いのは「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」でした。統合失調症を含む「精神および行動の障害」全体では約21万3,100人となっています。
「令和5年(2023)患者調査 表1 年齢階級別にみた施設の種類別推計患者数 」のデータを年代別にみると、高齢になるほど入院患者数が多くなる傾向が見られます。しかし若い世代でも、精神疾患や骨折などで急に入院を余儀なくされるケースがあります。
入院は「いつでも誰にでも起こりうるもの」と考え、費用面で困らないよう、あらかじめ備えておく必要があるでしょう。
出典:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査」
【疾病別】平均的な入院日数
入院日数が長くなると、その分費用がかさみやすくなるため注意が必要です。
おもな疾病の平均的な入院日数は、次の通りです。
傷病分類 | 平均入院日数 |
統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害 | 569.5日 |
脳血管疾患 | 68.9日 |
骨折 | 35.4日 |
筋骨格系および結合組織の疾患 | 29.6日 |
悪性新生物(がん) | 14.4日 |
※厚生労働省「令和5年(2023)患者調査 結果の概要 3 退院患者の平均在院日数等 表6」)をもとに筆者作成
近年は、中高齢の患者を中心に、平均入院期間が短くなってきています。2023年の調査では、全体の平均入院日数は28.4日でした。
傷病別に見ると、例えば「悪性新生物(がん)」は14.4日と、全傷病の平均入院期間28.4日よりも短期間の入院で済む傾向が見られます。一方で、脳血管疾患や精神疾患などは入院期間が長引きやすく、一度発症すると数ヶ月~年単位の入院が必要になる可能性もあります。
入院日数は患者の年代によっても差があり、高齢になるほど増加する傾向が見られます。例えば「15~34歳」の平均は10.5日ですが、「70歳以上」では36.7日となっています。
出典:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査」
【疾病別】1日当たりの平均的な入院費用
生命保険文化センターの調査によれば、入院費用(自己負担額)の1日当たりの平均は約2.4万円でした。最も多かったのは「1万円~1.5万円」と答えた人ですが、「4万円以上」と答えた人も15.1%と少なくありません。
同調査では、1回の入院の自己負担総額は平均18.7万円となっています。入院して働けなくなったなどの理由で失われた収入(逸失収入)も含めた平均は25.3万円でした。
傷病別・年代別に見た、1回当たりの入院費用の平均は以下の通りです。
傷病・年代 | 1入院費用 | 1日単価 |
急性虫垂炎・40代 | 約57万円(約17万円) | 約10万円(約3万円) |
結腸の悪性新生物(がん)・50代 | 約89万円(約27万円) | 約10万円(約3万円) |
急性心筋梗塞・60代 | 約176万円(約53万円) | 約19万円(約6万円) |
脳梗塞・70代 | 約188万円(約57万円) | 約7万円(約2万円) |
大腿骨頸部骨折・80代 | 約240万円(約72万円) | 約7万円(約2万円) |
※公益社団法人全日本病院協会「診療アウトカム評価事業 医療費」をもとに、年代別・疾病別におもなものを抽出し、筆者作成
表は病院の入院医療費の平均です。実際には健康保険の適用で原則3割負担(所得や年齢による)になり、さらに高額療養費制度などが利用できるため、自己負担額を抑えられる仕組みになっています。
出典:
公益財団法人生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
公益社団法人全日本病院協会「診療アウトカム評価事業 医療費 2024年度 7ー9月 年代別・急性期グループ」
入院による金銭的な負担を軽減する方法
続いて、入院が必要になった場合に、金銭的な負担を軽減できる方法について詳しく見ていきましょう。
入院時に活用できる公的制度を活用する
入院時に活用できる公的制度として、例えば次のようなものが挙げられます。
・高額療養費制度
・傷病手当金
・医療費控除
それぞれ解説します。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、一定額(所得や収入に応じた自己負担限度額)を超える医療費を負担した場合に、超えた部分の払いもどしを受けられる制度です。
例えば69歳以下で年収500万円の人の場合の自己負担限度額は、下記の計算式で求めることができます。
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
つまり、医療費が月100万円かかったとしても、自己負担額は9万円程度になります。
ただし、入院時の食事代や差額ベッド代などはこの制度の対象外のため、別途負担する必要があります。また、高額療養費制度は1日~末日の1ヶ月を区切りとし、月をまたいだ場合はそれぞれの月ごとに計算されます。例えば入院期間が短期間でも5月30日~6月2日のように月をまたいでいるようなケースで、どちらの月も上限額以上の医療費がかかった場合には、2ヶ月分の自己負担(年収500万円程度の人の場合は約18万円)が発生するということです。
一定の自己負担は必要なものの、高額療養費制度によって家計への影響を抑えられる可能性があります。
高額療養費制度の利用には所定の手続きが必要です。また、一旦窓口で全額を支払い、後から払いもどしを受けるのが基本です。しかし、マイナンバーカードを健康保険証として利用している人なら手続き不要で、窓口での負担を自己負担限度額までに抑えられます。
出典:
厚生労働省保険局 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
協会けんぽ「高額療養費」
傷病手当金
傷病手当金は、原則として業務外の事由による病気やケガで働けなくなった日から3日間の待期期間を経た4日目以降、支給を開始した日から通算して1年6ヶ月にわたって、直近1年間の標準報酬月額をもとに算出された日額のおおよそ3分の2が受け取れる制度です。入院に限らず、医師に指導を受けた自宅療養も対象になります。業務や通勤が原因のケガや病気に関しては、原則として労災保険の対象となり、傷病手当金と重複して受け取ることはできません。
なお傷病手当金は、有給休暇などとして給与を受け取っている間は、受け取れません。
また、自営業やフリーランスなど国民健康保険の加入者は、原則として対象外です。仕事を休んだ途端に収入が大幅に減ってしまう人も少なくないため、傷病手当金がある会社員や公務員などと比べ、自分で働けなくなった場合に備えておく必要性が高いといえるでしょう。
傷病手当金を受け取る場合、勤務先もしくは勤務先で加入している健康保険に必要書類を送付して手続きします。
実際に傷病手当金が手元に届くのは、手続き後2週間~1ヶ月程度経った時期になるのが一般的です。その間の生活費や医療費を立て替えておく必要があるため、傷病手当金を受け取れる人でも、緊急時のための金銭的な備えは重要といえます。
出典:協会けんぽ「傷病手当金」
医療費控除
医療費控除は、一定額以上の医療費を支払った場合に、所得控除を受けられる仕組みです。確定申告を行うことで、所得税と住民税の負担を軽減できます。
医療費控除の金額は、原則として「実際に支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円」で計算され、最大200万円まで認められます。
自分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も合算できます。また、診察代や入院料だけでなく、薬代や病院までの交通費なども含められる場合があります。
スムーズに申告できるよう、通院時や退院時に受け取る病院の領収書や、健康保険から届く「医療費のお知らせ」などを大切に保管しておきましょう。
民間の保険を活用する
公的制度だけでなく、民間の保険を活用して自分で備えておく方法もあります。入院した場合に役立つ保険には「医療保険」や「就業不能保険」などがあります。
医療保険
医療保険は、病気やケガの際に役立つ保険です。入院や手術などの治療を受けた際に給付金を受け取れるタイプが一般的で、「入院1日につき1万円の入院給付金」など任意の金額で契約できます。
多くの種類があり、金額の他、特約の有無なども選べるため、自分に合った保険を探すことができます。
医療保険は幅広くさまざまな病気やケガに対応していますが、特定の疾病に対して重点的に備えたい場合は「がん保険」「三大疾病保険」などの選択肢もあります。
就業不能保険
就業不能保険は、入院した場合の収入減に備えることができる保険です。
病気やケガで所定の状態になり一定期間が経過した場合に、給付金を受け取れます。給料のように毎月一定額ずつ入金されるタイプが一般的で、働けない間の生活費などの出費に備えられます。
特に、傷病手当金を受け取れない自営業の人など、自身が働けなくなると収入減に直結する人にとって、備えの一つとなるでしょう。
入院・手術への備えを準備しておこう
入院することになると、医療費はもちろん交通費や衣類・日用品代などさまざまな費用がかかります。高額療養費制度など負担を軽減できる公的な保障はあるものの、1回の入院で自己負担する金額は平均18.7万円という調査結果もあります。
若い人や「自分は健康だ」と思っている人でも、突然の病気やケガで入院が必要になる可能性はゼロではありません。いざという時に困らないよう、入院や手術に対する経済的な備えを検討しておきましょう。
アクサ生命では、家計や保険に関するお悩みを無料で相談できます。対面だけでなく電話やオンラインにも対応しているので、迷った時は気軽にご相談下さい。
■記事の監修者


名前:馬場 愛梨(ばば えり)
保有資格:AFP、証券外務員一種、貸金業務取扱主任者(資格試験合格)
関西学院大学商学部を卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
自身がかつて金銭面で苦労した経験から、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。
これまでに1,000本以上の金融・マネー関連記事や解説コンテンツを執筆・監修。
https://babaeri.com/
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