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保険料控除申告書の書き方をわかりやすく解説!記入例・訂正方法・提出時の注意点も紹介

​公開日:2026/07/27

​年末調整の時期になると、勤務先から「保険料控除申告書」の提出を求められます。しかし、記入欄が多く、どこに何を書けばよいか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。


本記事では、保険料控除申告書の役割や対象となる控除、書き方の要点、間違えたときの対処法までをわかりやすく解説します。はじめて年末調整を行う方も、毎年記入に迷っている方も、ぜひ参考にしてみてください。


​保険料控除申告書とは

​保険料控除申告書は、年末調整で保険料控除をうけるために、生命保険料や社会保険料などの支払い状況を勤務先へ申告する書類です。正式名称は「給与所得者の保険料控除申告書」といいます。


​保険料控除申告書の役割

​保険料控除申告書は、給与所得者が支払った保険料について、所得控除の適用を受けるために提出する申告書です。


給与から毎月源泉徴収される所得税は概算額であり、年末にならないと正確な税額が確定しません。申告書を通じて支払った保険料を勤務先へ申告することで、年末調整に控除内容を反映できます。


なお、申告内容に誤りがあると、本来受けられる控除が正しく反映されない可能性があります。控除証明書を手元に置いて記載内容と照らし合わせながら記入しましょう。


​対象になる主な控除

​保険料控除申告書で申告できる控除は4種類あり、生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除に分かれます。それぞれ対象となる保険料や掛金の性質、控除額の上限や計算方法が異なり、区分ごとに申告する仕組みです。

主な控除の違いは、以下のとおりです。

​控除の種類

​主な対象

​所得税における控除額の上限

​生命保険料控除

​生命保険・介護医療保険・個人年金保険

​最大12万円

​地震保険料控除

​地震保険・一部の旧長期損害保険

​最大5万円

​社会保険料控除

​国民年金・国民健康保険など

​支払額の全額

​小規模企業共済等掛金控除

​iDeCo・小規模企業共済など

​支払額の全額

​IDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金や、生計を一にする家族の国民年金保険料を本人が支払った分も対象になるため、見落としがないよう確認しましょう。


参考:令和7年分 給与所得者の保険料控除申告書


​年末調整と確定申告の違い

​会社員や公務員の方の生命保険料控除は、原則として年末調整で申告します。しかし、申告漏れや提出期限に間に合わなかった場合は、確定申告でも対応可能です。


両者の違いは、対象者と手続きの主体にあります。年末調整は、勤務先が給与所得者の所得税額を計算し、源泉徴収された税額との過不足を精算する手続きです。一方、確定申告は、納税者本人が所得や控除などをもとに税額を計算し、税務署へ申告する手続きです。


たとえば給与収入が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外となるため確定申告が必要です。給与所得以外の所得が一定額を超える人は年末調整に加えて、確定申告が必須となります。また、医療費控除・寄附金控除・雑損控除の3つは年末調整では適用できず、確定申告でのみ手続きできます。


​保険料控除申告書を書く前に準備するもの

​保険料控除申告書の記入をスムーズに進めるには、必要な書類を事前にそろえておくことが大切です。特に控除証明書と勤務先で配布される申告書は必須で、契約内容がわかる資料も手元にあるとさらに安心して作成できます。


​控除証明書

​保険料控除申告書を記入するうえで、重要なのが保険会社から送付される「控除証明書」です。申告書の記入欄の多くは、この証明書の内容を転記する形で埋めていきます。


控除証明書は、毎年10月中旬から11月上旬ごろにかけて保険会社から郵送または電子データで届きます。確認すべき項目は、保険の種類・区分・契約者名・本年中に支払った保険料額などです。


特に生命保険料控除では「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3区分があり、契約している保険がどこに該当するかを確認しておく必要があります。複数契約がある場合は、契約ごとの証明書をすべてそろえ、見当たらない場合は早めに保険会社へ再発行を依頼しましょう。


​勤務先から配布された申告書

​申告書は、勤務先から配布される書類または社内の電子申告システムを通じて提出するのが一般的です。会社ごとに提出方法が異なるため、案内内容を事前に確認しておくと手戻りを防ぎやすくなります。


様式は、その年のものを使う点にも注意しましょう。たとえば2025年分の年末調整では「令和7年分」と記載された申告書を使用します。前年度の様式を流用すると、控除計算を誤るおそれがあるため、注意が必要です。


また、提出期限や提出方法、控除証明書の原本提出の要否は勤務先によって異なります。電子申告の場合も、電子データをアップロードするケースや、紙の証明書を別途提出・提示するケースがあります。勤務先の案内に沿って準備を進めましょう。


​契約内容がわかる資料

​控除証明書の記載だけでは判断が難しい場合、保険証券や契約内容のお知らせを手元に用意しておくと安心です。契約の詳細を確認することで、保険の種類や保険金の受取人などを把握することができます。


不明点がある場合は、保険会社の問い合わせ窓口へ早めに相談すると、スムーズに手続きを進められます。


​生命保険料控除欄の書き方の要点

​生命保険料控除の記入欄は区分や制度の違いがあり、一見複雑に感じられるかもしれません。ただし控除証明書の内容を順番に転記していけば、迷わずに書き進められる仕組みになっています。


​生命保険料控除の3区分

​生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3区分に分かれています。契約ごとに、どの区分に該当するかを確認しましょう。


一般生命保険料控除は死亡・高度障害に備える保険が対象で、介護医療保険料控除は入院・通院や介護などに備える保険、個人年金保険料控除は一定の要件を満たす個人年金保険が対象です。どの区分に該当するかは、控除証明書に明記されています。


申告書の記入欄も3区分に分かれているため、契約ごとに区分を確認したうえで該当欄に転記する流れです。


​新制度と旧制度

​生命保険料控除は、契約した時期によって「新制度」と「旧制度」に分かれます。計算方法や控除額の上限が異なるため、控除証明書に記載された制度区分を確認しましょう。


新制度は2012年1月1日以降に締結した契約、旧制度は2011年12月31日以前に締結した契約が対象です。証明書の記載どおりに記入しましょう。


なお、両制度の違いは以下の表のとおりです。

​項目

​新制度

​旧制度

​対象契約

​2012年1月1日以降に締結

​2011年12月31日以前に締結

​区分

​一般・介護医療・個人年金の3区分

​一般・個人年金の2区分

​所得税における各区分の控除上限

​4万円

​5万円

​所得税における合計控除上限

​12万円

​10万円(新制度と混在している場合は12万円)


​保険会社名・保険の種類

​保険会社名や保険の種類は、控除証明書の記載内容をそのまま転記します。自己流の書き換えや略称の使用は避け、証明書に沿って正確に記入するのがポイントです。


保険の種類の名称が長い場合でも、控除証明書や勤務先の記入案内に沿って記入しましょう。記入欄に収まらない場合や入力文字数に制限がある場合は、勤務先の担当部署に確認すると安心です。


複数契約がある場合は、契約ごとに区分けして記入し、記入欄が不足するときは勤務先の案内に従って別紙を添えるなどの対応を取りましょう。


​保険期間・契約者名・受取人

​申告書には、契約内容の基本情報を記入する欄があります。特に個人年金保険料控除では、契約者や受取人が適用条件に関わるため、正確な確認が欠かせません。


個人年金保険料控除の適用には、年金受取人が契約者本人またはその配偶者であり、保険料の払込期間が10年以上であるなど、複数の要件が定められています。家族名義の契約であっても、実際に保険料を負担している人の申告対象となる場合があるため、判断に迷ったら保険会社へ確認しましょう。


参考:国税庁 No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等

参考:生命保険文化センター 税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」


​支払保険料額

​支払保険料額は、控除証明書に記載された「申告額」または「証明額」を転記します。月額保険料から自分で計算せず、証明書の記載通りに書く点が重要です。


証明書には「証明額」と「申告額(12月末時点の予定支払額)」が併記されている場合があります。年末まで契約を継続するなら「申告額」を、すでに契約を解約している場合は「証明額」を使うのが原則です。


複数契約がある場合は、区分ごとに合計額を算出して記入しましょう。


​控除額の計算欄

​控除額の計算欄は、申告書下部に記載された計算式に当てはめて金額を算出します。数式は一見複雑ですが、区分と制度が整理できていれば迷わず進められるはずです。


たとえば新制度の場合、年間支払保険料が2万円以下なら全額、2万円超4万円以下なら「支払額×1/2+1万円」といった計算式が設けられています。市販の給与計算ソフトや年調ソフト(国税庁提供の無料ソフト)を使えば、金額を入力するだけで自動計算されるため、手計算に不安がある場合は活用を検討しましょう。


​保険料控除申告書を間違えたとき

​保険料控除申告書の記入ミスや書類の紛失は、誰にでも起こりうるトラブルです。提出のタイミングや状況に応じて対処法が変わるため、慌てずに順を追って対応しましょう。


​提出前に間違いに気づいた場合

​提出前に誤りに気づいた場合は、落ち着いて訂正すれば問題ありません。訂正方法は勤務先のルールによって異なるため、自己判断で大きく書き換えず、案内に沿って対応するのが基本です。


紙の申告書の場合、間違えた箇所に二重線を引き、近くに正しい内容を記入する方法が一般的です。訂正印の要否は勤務先によって扱いが分かれるため、提出前に確認しておきましょう。


書き直しが認められている場合は、新しい用紙に書き直すほうが確実です。電子申告の場合は、提出前であれば入力画面から修正できるケースがありますが、人事・総務など担当部署へ相談すると安心です。


​提出後に間違いに気づいた場合

​提出後に間違いに気づいたときは、まず勤務先の担当部署へ速やかに連絡しましょう。年末調整のやり直しが可能な期間であれば、訂正に応じてもらえる場合があります。


勤務先で年末調整の訂正処理に対応できる時期は、会社の処理状況や社内締切によって異なります。提出後に誤りに気づいた場合は、できるだけ早めに勤務先の担当部署へ確認しましょう。勤務先での訂正が難しい場合は、必要に応じて確定申告で対応することになります。


確定申告で対応する場合、税金が戻ってくる内容なら「還付申告」として5年以内に手続きが可能です。一方、控除額を多く申告していたなどの理由で、本来より納める税額が少なくなっていた場合は、追加で申告や納税が必要になることがあります。担当部署へ連絡する際は、どの欄をどう間違えたかを整理して伝えるとやり取りがスムーズです。控除証明書や支払った保険料のわかる資料も、あわせて準備しておきましょう。


​控除証明書をなくした場合

​控除証明書を紛失した場合は、保険会社へ再発行を依頼します。年末調整の期限が近づくほど手続きに余裕がなくなるため、気づいた時点で早めに動くのがポイントです。


再発行の方法は保険会社ごとに異なり、Webサイト・電話・郵送などから手続きできるケースが一般的です。多くの保険会社ではマイページからの再発行申請に対応しており、電子データ(XML形式)でダウンロードできる場合もあります。


再発行には数日から2週間程度かかるケースもあるため、年末調整の期限までに間に合うかを早めに確認しましょう。万が一間に合わない場合は、確定申告で控除を申告する方法も選択肢に入ります。


年末調整で控除を申告しそびれた場合は「還付申告」として対応でき、申告対象年の翌年1月1日から5年間、手続き可能です。通常の確定申告期間(2月16日~3月15日)を待たずに年明けすぐから提出できるため、年末調整に間に合わなくても控除を受ける機会は残されています。



​保険料控除申告書は控除証明書を確認しながら記入しよう

​保険料控除申告書は、年末調整で税負担を軽くするための大切な書類です。控除証明書を手元に用意し、記載内容を順番に転記していけば、落ち着いて記入を進められます。


記入欄が区分ごとに分かれているため、証明書の表示に沿って整理しておくと、書き間違いを防げるでしょう。


万が一ミスや紛失があっても、勤務先への相談や確定申告で対応できる場合があります。記入に不安があるときは勤務先や保険会社へ早めに確認し、一つずつ解消しながら手続きを進めてください。


また、今回の年末調整をきっかけに、ご自身の保障内容を振り返ってみるのもおすすめです。保険の見直しや相談を検討することで、より安心できる備えにつなげられるでしょう。



​記載の税務についてのお取扱いは2026年7月現在の税制に基づいた一般的なお取扱いをご案内しているものであり、実際のお取扱いとは異なる場合があります。また、このお取扱いは、将来変更される可能性があります。個別の税務などについて、詳しくは、所轄の税務署などに必ずご確認ください。


■記事の監修者


名前:柴田充輝(しばたみつき)
保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引士


経歴:大学卒業後、厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 独立後は多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行いつつ、金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。



名前:安田亮(やすだりょう)
保有資格:公認会計士、税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士


経歴:公認会計士試験合格後、大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

またFP資格も有しており、自ら株式投資や各種節税も行ない、企業会計から個人資産の運用まで幅広い相談を受けている。