新しいビジネスの芽を育て、事業の多角化で成長を続ける、有名企業や老舗企業の意外な「業種転換」

#会社経営 #仕事

※写真はイメージです

グローバル経済や情報テクノロジーの高度化など、企業経営を取り巻く環境は大きく変化しています。競争は苛烈になり、誰もが知る有名企業や数年前まで莫大な利益を生んだ事業が苦戦を強いられているケースも珍しくありません。

一方で、本業で培った技術を新たな分野に転換して事業の多角化に乗り出したり、業績が好調のうちに次のビジネスの芽を育てて成長を続ける企業もあります。
そんな異分野への投資やチャレンジを厭わず、変化することで企業を存続させてきた業種転換の事例を紹介します。

ドラスティックな業態転換により急成長した「富士フイルム」

大胆な業態転換による成功事例。広く知られているのは「富士フイルム」です。ひと昔前は写真フィルムのトップメーカーとして認識されていましたが、今や再生医療や化粧品といったヘルスケア分野のイメージのほうが強いかもしれません。

同社がそれまでの柱だった写真フィルム事業から大きくシフトしたのは2000年代以降。
2004年の中期経営計画でヘルスケア事業の強化を打ち出し、その2年後には富士写真フイルムの社名から「写真」がなくなりました。2006年に化粧品や機能性食品を発売し、2007年からはスキンケアシリーズ「ASTALIFT(アスタリフト)」を展開。発売4年目で売上高100億円に達し、年々拡大を続けています。

一方、創業期の1936年からレントゲンフィルムの開発などで携わってきた医療分野では、診断領域において、内視鏡、医療ITに加え超音波診断装置などにビジネスを拡大。2008年に製薬企業である富山化学工業を買収し、治療領域にも本格参入しています。また、写真フィルムで培った技術力を活かし、抗がん剤やアルツハイマー病治療薬、感染症治療薬などを開発。さらに、バイオ医薬品の開発、製造受託会社のFUJIFILM Diosynth Biotechnologies,LLC、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.、日本で初めて再生医療製品を上市した株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングなどを傘下におさめてきました。

2019年度のヘルスケア事業の売上高は5,000億円を目標とし、予防・診断・治療までをサポートするトータルヘルスケアカンパニーとして事業を拡大し続けています。

小さな専門出版社から東証一部上場企業へ

また、世間では斜陽といわれている産業にも、業種転換に活路を見出す動きが見られます。市場規模が急激に縮小している出版業界では、「鎌倉新書」の復活・成長の軌跡が鮮やか。1984年に仏壇仏具業界向け書籍の出版会社として設立、今も出版は継続していますが、事業の柱となっているのはポータルサイト事業。「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」の3つのサイトをはじめとするWEBサービス事業の2018年1月期の売上高は15億円を超え、書籍その他の事業の1億8,000万円を大きく上回っています。

同社が「いい葬儀」をスタートさせたのは2000年。当初は葬儀社の検索や葬儀にまつわる情報などを発信していましたが、ほどなくして遺族と全国の優良葬儀社を結びつけるマッチング事業へとシフト。さらに、お墓や仏壇などにも展開し、「ライフエンディング」の総合サービス企業として急成長を遂げています。2015年には東証マザーズ上場、2017年には東証一部に市場変更を果たしました。

鎌倉新書の武器は、創業以来、専門出版社として培ってきた膨大な知見やコネクション。そのリソースを出版という形態にとらわれず活用したことで成功を収めました。なお、2018年からは新たにペットシッター事業やシニア向けのパソコン教室事業に乗り出すなど、さらなる歩みを進めています。

※写真はイメージです。

100年以上続く老舗印刷会社、経営多角化の歴史

一方、創業100年を超えるような老舗企業も、その多くが当初の本業から事業領域を大きく拡げています。
世界最大規模の総合印刷会社「大日本印刷」は、1876年創立の秀英舎を前身とする超老舗。昨今は出版不況で苦戦を強いられているかと思いきや、2018年3月期の決算は前期比で増収増益。営業利益は約463億円で、前期比47.6%増と好調です。

出版印刷業のイメージが強い同社ですが、じつは古くから新事業への参入を積極的に行っています。1950年代に印刷技術の応用・発展によって商品パッケージや建材分野、エレクトロニクス分野にも展開するなど、後に「拡印刷」と呼ばれる多角経営の礎を築いてきました。

受注産業としての性格が強い印刷産業。しかし社会が大きく変化している現在は、「社会課題の解決につながる新しい価値の創出」に主体的に取組むことを成長戦略の中心に掲げています。モビリティ関連事業や次世代テクノロジーの領域にも参入し、製品やサービスの開発を推進。2018年1月には電気自動車などの車体軽量化ニーズに対応した「曲面樹脂ガラス」を開発しました。なお、大日本印刷のエレクトロニクス分野単体での営業利益は約341億円で、全部門トップとなっています。

戦中の危機に撒いた種が、未曾有の業界不況を乗り切る力に

さらに、業界全体でドラスティックな業種転換が相次いだ例もあります。たとえば明治中期は「製糸業」や「紡績業」が日本の主力産業であり、多くの紡績企業や生糸関連の産業が生まれました。しかし、1970年代以降は業界全体が長い不況のトンネルへ。当時すでに創業100年に迫ろうかという老舗も、新事業に注力することで荒波を乗り越えています。

1887年創業の「神栄」は、1970年代に業界初の金属酸化物型センサ、湿度計測の性能を飛躍的に向上させた高分子湿度センサを開発。1983年には初期からの主力事業だった製糸業から撤退するも、湿度センサの分野では世界トップクラスのシェアを獲得しています。また、1907年設立の「日清紡」は今や自動車用ブレーキの最大手。1882年創立の「東洋紡(旧・大阪紡)」は戦後ほどなくしてバイオ事業に進出し、現在は液晶用フィルムや医薬品などで収益を伸ばしています。

じつはこれらの企業における新規事業の多くは、戦時中にその種が撒かれたもの。当時、製糸業(蚕糸業)は第二次世界大戦中に制定された「蚕糸業統制法」によって国家ぐるみの規制・統制が行われ、厳しい局面に立たされていました。各社はそのピンチを脱すべく、他分野への転換に着手。神栄はコンデンサの製造を、日清紡はブレーキや精密機械の製造をスタートさせています。戦時下の厳しい状況の中で芽吹いた新事業が、1970年代以降に業界全体を襲った不況を乗り切る大きな推進力になったのです。

約半数の企業が創業以来の本業からシフト

ちなみに、帝国データバンクの調査によれば、1万867社のうち47.7%が創業時(設立時)と現在とでは本業が変化していると回答したといいます(2015年6月「“本業”の現状と今後に対する企業の意識調査」より)。イノベーションによりさまざまな業界の垣根が破壊されていく第4次産業革命の最中にあって、この流れはますます加速していくことでしょう。

創業以来の事業に固執せず変化に柔軟であること、また、本業で得た知見や技術を活かし時代のニーズにコミットしていくこと。経営者には足元の事業のみならず他分野をも見渡す、広い視野が求められています。

法人のお客さまへ

法人のお客さまへ

企業のライフステージに応じた様々な課題にお応えし、「100年企業」を目指すためのサポートをいたします。

アクサ生命 公式サイト

アクサ生命 公式サイト

アクサ生命の商品・サービスについてはこちらの公式サイトからご覧ください。