「獺祭」旭酒造、浜野製作所……、「二代目」「三代目」の後継者により大きく飛躍した企業の共通点とは?

#会社経営 #仕事 #人生100年 #事業承継 #インタビュー

経営者にとって、大きな課題の一つが「事業承継」です。特に、中小企業トップの高齢化が進んでいる現在は「大事業承継時代」とも呼ばれ、多くの企業が転換期を迎えています。

アクサ生命が中小企業経営者6,685名を対象に行った調査『社長さん白書2018』によれば、事業承継が決まっている中小企業のうち、最も多かったのは「親族への事業継承」という回答。およそ3人に1人の経営者が、自身の子どもを含む親族に事業を託すことを考えているようです。(関連記事はこちら

ビジネス環境が厳しさを増す中、先代が育てた会社を守っていくのは容易いことではありません。しかし一方で、子どもへの事業継承には相続面を含むさまざまなメリットがあるといわれ、二代目・三代目の優れた手腕により、事業をさらに大きく成長させたケースも少なくありません。

そこで今回は、親からバトンを託された「二代目・三代目経営者」の事例を交えつつ、子どもへの事業継承の成功ポイントを探りたいと思います。

最もポピュラーな「親族内承継」 そのメリットとは?

事業承継には大きく分けて「親族内承継」、「従業員などへの承継」、「M&A」の3つの選択肢があります。それぞれに一長一短がありますが、親族内承継のメリットとして中小企業庁が挙げているのが以下の3点です。

(1)一般的に他の方法と比べて、内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。
(2)後継者の早期決定により、長期の準備期間の確保が可能。
(3)相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の一体的な承継が期待できる。
※中小企業庁「事業承継ガイドライン(平成28年12月)」より引用

一方、親族内継承における課題としては主に「税負担への対応」や「株式・事業用資産の分散防止」、「債務の承継への対応」などが特に発生しやすいとしています。

夫婦2人の町工場から社員50名の金属加工・装置開発メーカーへ【浜野製作所】

前述のように、親族への事業承継には「後継者の早期決定により、長期の準備期間の確保が可能」という大きなメリットがあります。

墨田区にある金属加工・装置開発メーカー・浜野製作所の二代目、浜野慶一氏も、将来の事業承継を見据え、大学卒業後すぐに“修業”を開始したといいます。

浜野慶一氏(以下、浜野氏)「浜野製作所は元々、私の両親2人だけで営む小さな町工場でした。後を継ぎたいと思うようになったのは大学4年生の頃。当初は家業とは関係のない一般企業に就職するつもりでしたが、ある日、父から飲みに行こうと誘われ、そこで父の仕事に対する姿勢や情熱を知ったことで考えが変わりました。すぐに父に相談したのですが、『未経験のお前が会社に入ったって役に立たない。後を継ぎたいなら最低10年は修業しろ』と。それで、父の口利きで板橋の精密板金加工会社に丁稚奉公へ行くことになったんです」

浜野氏によれば、父親が息子の“奉公先”に精密板金加工会社を選んだのには、ある思惑があったと言います。

浜野氏「先代の頃は主にプレス金型加工による“少品種多量生産”を行っていましたが、そうした仕事は今後すべて海外にとられ、やがて頭打ちになると父は考えていたようです。そして、私に代替わりする頃には精密板金加工の“多品種少量生産”の時代がやってくるだろうと。その時に備え、私に経験と技術を身に着けさせるために、別の工場へ修業に出したのだと思います」

長年の経験から業界の行く末を予測し、二代目が歩むべき道筋をつけた先代。ただバトンを渡すだけではなく、後継者の成功を心から願い、適切な教育や準備を行ったことで成功への扉を開いた好例といえそうです。

事実、浜野氏に代替わりした浜野製作所は2000年以降、大きく受注を伸ばしていきます。

浜野氏「1993年に父が亡くなり、想定より早く継ぐことになりました。2000年には隣家からのもらい火で本社工場が全焼する災難にも遭いましたが、同時期に建てた精密板金加工の新工場が軌道に乗り、当初4社だった取引先が現在は4,800社にまで増えました。まさに父の読み通り、でしたね」

それに伴い、従業員も50名にまで増加。数年前からは墨田区や早稲田大学と協働で、電気自動車を開発する産学官連携プロジェクトにも乗り出すなど、新たなチャレンジを続けています。

浜野氏「下町の町工場、ものづくりを取り巻く状況は急激に変化しています。かつて墨田区に9,800社あった町工場も現在では5分の1以下に減っており、部品加工だけでは、付加価値が作れなくなっているんです。浜野製作所も今は何とかなっているけど、5年後、10年後、ここで働いてくれている従業員や家族を生活させていけるだろうかと考えたときに、何か新しいチャレンジを始める必要があると感じました。これまでのように依頼されたものをただ作るのではなく、自ら『私たちにはこんなことができます』と逆提案できるよう、事業構造を変えていかなくては生き残れないと。産学官連携事業に参加したのも、私が自らプロジェクトに入って経験を積み、新しい事業の在り方や進め方、マネタイズ(※)の方法や必要な技術などを習得するためです」

※収益を上げる仕組みを作ること

酒造りの常識を打ち破り、出荷数量全国トップの純米大吟醸「獺祭」を開発【旭酒造】

また、日本酒「獺祭」で知られる旭酒造も、急逝した父親の後を継いだ三代目・桜井博志氏(現・会長)によって大きく躍進した企業の一つです。1770年創業と伝わる旭酒造ですが、かつては売り上げ不振に陥り、特に三代目に代替わりした当時は倒産も遠くないと囁かれるほどのどん底だったといいます。

桜井博志氏(以下、桜井氏)「酒蔵を継いだ当時、旭酒造は山口県岩国市内で4番手、しんがりのメーカーでした。もともと売上が急減していたのに加え、焼酎ブームに押されて日本酒市場自体が低迷、当時はかなり追い詰められていたんです」

しかしその後、「おいしい酒をつくりたい」という一心から純米大吟醸酒「獺祭」を開発。地元ではなく東京の大市場を狙った販売戦略も当たり、2013年には純米大吟醸の酒別で全国トップの出荷数量に。不況にあえぐ日本酒市場にあって、大きく成長しました。

桜井氏「もともと瀕死の状態でしたから、失うものなどありません。ならばやれることをやってみよう、背水の陣で何もかも変えてやろうと考えたんです。そこで、小さな酒造であることの強みを考え、小規模な仕込みでないと造れない、なおかつ少量ずつでも愛され続ける純米吟醸酒に絞りました。また、地元で勝てないならいっそ、遠くのもっと大きな市場へ展開しようということで、東京を中心とした全国への進出を決めたんです。その他にも誰もやったことのない、慣習や伝統を壊すような選択をし、時にはお叱りを受けながらも前に進んできました」

たとえば杜氏に頼らず、製造経験ゼロだった社員だけで酒造りを始めたのもその一つ。酒造りの「素人」だったからこそ、常識にとらわれない自由な発想で、妥協のない酒造りができたといいます。結果、精米歩合を23%という“極限値”まで高める、従来の杜氏制であれば考えられなかった発想が生まれ、当時としては唯一無二となる「磨き二割三分」の獺祭が誕生したわけです。

目の前の常識を疑い、これまでのやり方を刷新することで掴んだ成功。
一方で、頑なに変えないと決めている部分もあるといいます。

桜井氏「日本一おいしい酒を造ろう、そう決めてからは商品数を増やさず、山田錦を使った純米大吟醸だけを深く掘り下げてきました。酒好きの方からはもっと違った酒も飲んでみたいというご要望をいただきますが、私たちは自分たちがおいしいと信じる酒しか造りません。それは、一時的に珍しいものを出してお客さまを刺激し売り上げを上げても、本質的なお客さまの幸せにはつながらないと思うからです」

2016年、旭酒造は三代目から四代目へと代替わり。入社以来、海外マーケティングなどを担当してきた桜井一宏氏が会社の舵をとっています。偉大な三代目から経営を引き継いだ四代目のミッションは「獺祭」を世界へと広めること。その拠点としてニューヨークに酒蔵を建築するプロジェクトを進めるなど、新しいチャレンジを続けています。

親から受け継ぐものは、経営者としてのスピリット

浜野製作所と旭酒造、2つの事例は、先代から引き継いだ経営資源をそのまま維持するだけでなく、時代に合わせて変化すること、挑戦することの大切さを教えてくれます。言葉で言うのは簡単ですが、事業を継続するだけでも困難な中、リスクをとってトライしていく覚悟は生半可なものではなかったはずです。

また、浜野氏、桜井氏、両者に共通しているのは、自分の仕事にプライドを持ち、心から好きであるということ。

こうした事業に対する誇りや信念、挑戦する姿勢といったものは、経営者にとって必要不可欠な資質といえますが、幼い頃から経営者の親の背中を見て育つ二代目、三代目には、そうしたスピリットが自然と注入されていくのではないでしょうか。

そして、それこそが親子間における事業承継の最大のメリットと言えるかもしれません。

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