価格交渉や価格転嫁をうまく進めるコツとは?物価高騰の時代、中小企業が取引環境改善のためにできること

#会社経営 #仕事 #福利厚生 #事業承継 #健康経営

長引くコロナ禍や世界情勢の不安定化によって原材料価格や燃料費、電気料金などが高騰しており、企業規模を問わず厳しい事業環境が続いています。その中でも、中小企業や小規模事業者からは、「当初見積もっていた価格で販売しても利益を確保できない。価格転嫁したいが交渉は難しい」といった声が日々上がっています。

では、このような状況を乗り越える方法はないものか?中小企業診断士の意見を踏まえて確認していきましょう。

中小企業や小規模事業者が感じる価格交渉や価格転嫁の難しさ

「仕入れ価格が高くなったなら、価格交渉などを通して価格転嫁する」というのは自然なことのように感じます。しかし、中小企業や小規模事業者にとっては、想像以上に難しいこと。その背景には次のような事情や背景が挙げられます。

  • すでに見積もりを出して契約した上で取り組んでいるので、事後的に納品物の価格交渉をするのは商習慣としてなじまない
  • もし価格交渉に応じてもらえたとしても、そのことが理由で今後の契約が打ち切られるリスクがあるなら、現状の条件下で耐える方が得策だと思う
  • 価格を見直すとなると、発注元企業内の見込みにも多少なりとも影響が及ぶとわかっているので、「適切なタイミング」に交渉したいとは思っている。ただ、その適切なタイミングがいつなのか、掴めないままでいる
  • 取引先に相談したとしても、「御社以外からは価格交渉の声をかけられない」と言われてしまうと、取り付く島もない
  • コロナ禍もあって、交渉したくても機会を作るのが難しい

(参考:「価格交渉促進月間(2022年3月)フォローアップ調査の結果について」(令和4年6月22日中小企業庁))

ほかにも、それぞれの状況や条件、契約の背景など、複雑な事情が絡んで価格交渉や価格転嫁をより難しいものにしているのだと考えられます。

一方で、昨今では下請法などのガバナンス遵守の精神や「一緒に企業成長していこう」という考えのもと、大企業を中心に発注先企業との関わり方を変える、という流れも出てきています。

実際に、前出の「価格交渉促進月間(2022年3月)フォローアップ調査の結果について(令和4年6月22日中小企業庁)」では、「価格交渉をして、満額回答が得られた」や「担当者に、いつでも相談してほしいと言われた」といった中小企業や小規模事業者の意見が紹介されていました。また、同調査結果では、直近6ヶ月間に価格交渉の協議に応じてもらえた、とする回答が61.4%(n=25575。ただし、協議の結果、価格が変更されなかった場合も含む)になっています。

中小企業診断士が考える価格交渉・価格転嫁のポイント

前述のように、中小企業や小規模事業者にとって、価格交渉や価格転嫁は難関ではあるものの、まったく望みがないわけではなさそうです。ならば、どのようなポイントを押さえると、より望ましい展開に繋げられるのでしょう?中小企業診断士として活動する山田健一氏に意見を聞いてみました。

――中小企業や小規模事業者にとって、価格交渉や価格転嫁は難題です。一方で、原材料費等の高騰は続き、以前と同じビジネス環境とは言い難い状況でもあります。おもな発注元である大企業側は現状をどう考えていると思いますか?

山田氏:コロナ禍による仕入れの不安定化、昨今の原油高や円安の影響など2019年までと2020年に入ってからの外部環境は全く異なる状況となっており、いわば“有事”だと言えます。発注元は発注先の中小企業や小規模事業者が、「現状は“有事”に巻き込まれている状態だ」と十分に理解していると思われます。

ただ一方で、発注元の担当者の人事評価は、「品質、納期、コスト(粗利)」など、平時の評価のままになっていると考えられ、条件交渉は可能であるものの、担当者レベルでは迅速で柔軟な判断・対応が出来ないのだと推察されます。

――発注元に納入価格を見直してもらう適切なタイミングはありますか?

山田氏:適切なタイミングというよりも、普段から担当者同士がざっくばらんに話せる関係性を作っておくことが大切です。その中で、価格に影響を与えそうな外部環境や自社の状況などを随時話しておき、意識してもらうことで、早めに価格見直しの相談ができる環境を作ったり、発注元である大企業側に「多少ゆとりをもって予算組みしておいた方がいいかも」と備えるよう促したりすることも期待できます。また、結果として条件調整の打ち合わせ時間が増え、双方に納得のいく進め方で合意できる可能性も上がります。

――単純に価格交渉を持ちかけた場合に想定される直接・間接的なリスクを具体的に教えてください。

山田氏:まず直接的なリスクとしては、取引条件を満たさなければ取引停止になる、というものがあります。おそらく多くの企業はそのようなリスクを生まないように日々努力されていると拝察します。

一方、唐突に交渉を持ちかけた場合、狭い業界であればあるほど、「あの会社は最近評判良くないよ」「業績厳しくて値上げ交渉して回っているらしいよ」といった風評が出やすくなることが考えられます。これは間接的リスクとは言え、長く影響が及ぶと想像できるので、最も避けたいことです。

どんな場合でも言えますが、「会社が厳しいので受け入れてください」だけではなく、たとえば、「今まで以上にあなたにとってこんなことが出来そう」といった相手側にもメリットがある交渉カードを備えておくことはとても重要です。

――ある程度の不利益を被っても取引を続けた方が良いか、アンバランスな条件下で取引を続け得るならいっそ辞めてしまうか、という二択に迫られた場合の見極めポイントは?

山田氏:自社が行う事業が、世の中にとって需要があるのか、自己分析や評価だけでなく客観的に情報収集しておくことが大切です。

需要があると判断すれば、社内外の営業リソースを活用して、積極的に新規営業をかけて好条件を引き出せないか動いてみるべきですし、需要がなさそうであれば新たな付加価値事業を生み出すまでは、変動費だけでも賄いたいので赤字でも受注を受けざるを得ない、という目先判断もあると思います。収益性はもちろんですが資金繰り面を考慮した判断も重要です。

――スムーズな価格交渉を進める上でのコツを教えてください。

山田氏:「原価が上がっているからその分を見積もりに転嫁させてください」と言うだけでは交渉とは言えず、大企業側の担当者も社内で通すための材料がないため、関係者全員が困る状況になってしまうだけです。

たとえば、「この製品はこれまで通りで対応するが、この製品だけは何とか転嫁させて欲しい」など、具体的な原価を伝えながら説明することで、「中小企業側がこれだけ歩み寄ってくれているので、継続取引のためにも今回は折れてあげるのも必要じゃないでしょうか」といった社内調整を経て、双方の折り合いがつくこともあります。

中小企業側から下手な駆け引きをすれば、この先に平時に戻った時に関係性が切れてしまうことにもなりかねません。どちらが強い立場か、ではなく、「一緒にこの苦境を乗り越えましょう」というスタンスで、まずは歩み寄りの交渉を行うことがポイントです。

――今日のような“有事”において、安定経営のために経営者はどういったことに意識を向けたり備えたりする必要があるでしょうか?

山田氏:コロナ禍やウクライナ情勢が落ち着いたとしても、変わってしまった世の中の考え方が元に戻ることはなく、これまでの延長線上での経営はもはや現状維持すらできないことをまずは認識することが大切です。

その上で、自社にとってどのような成長機会があるのかを把握し、自社の強みを活かして何ができるのか、自社の弱みを補完するために何をすべきなのかをまっさらな状態から改めて考え、中長期的に競争優位性が確保できそうな事業を立ち上げたり伸ばしたりすることが重要です。

現在は国や自治体が補助金を交付してくれるケースもまだあります。税理士や中小企業診断士のような専門家と相談しながら「次の一手」を具体的に考えることが経営者には求められています。

長年、自分の腕一本で頑張ってきた経営者の方々は、「誰かに相談するなんて」と思ったり、「どう相談していいかわからない」と感じたりするかもしれません。しかし、胸につかえているモヤモヤを紐解いてくれる存在は、きっと心強い味方になるはずです。専門家でも社内の人材でも、相談しやすかったり、雑談していて活力が湧いたりするような存在を見つけて、一緒になって難局を乗り越えていきましょう。

「価格交渉促進月間」をきっかけにしたり、経営者が学ぶ機会の活用も視野に

政府も、取引環境の改善をバックアップする取り組みを進めており、9月と3月に定められている「価格交渉促進月間」では、発注側企業と受注側企業の価格交渉や価格転嫁を促進したり、アンケート調査等による状況確認等が続けたりしています。

また、中小企業や小規模事業者の経営者にとって気に留めておきたいのが、経済産業省と中小企業庁が提供している適正取引講習会「eラーニング」です。1レッスン約3分、無料で、「適正な取引とはどのようなものか」など、適正取引を体系的に学ぶ機会になっており、各講習会の受講を証明する「修了証」も発行されるため、取り組めば達成感も得られそうです。インターネットが使えればいつでもどこでも⼿軽に学べるのも取り組みやすいポイントだと言えます。

そのほか、適正取引講習会「オンライン講習会」では、下請法の理解や価格転嫁を実現するためのノウハウを総合的に学べるようになっています。毎月開催されているので、気軽に参加してみると新たな気付きが得られるかもしれません。

 


 

中小企業診断士の山田氏が言うように、現状はどのような企業にとっても“有事”の状態です。過去のルールや習慣が通じなくなっている今、これまで以上に先を見通す力や“先手を読むような戦略的な考え方”が求められています。このような難しい環境下でも、これまで通りに経営を続けるために、強かにしなやかに、力強く、まずはできることから着実に始めていきませんか?

 

協力・監修:中小企業診断士 山田健一
中小企業の経営戦略立案、新規事業立ち上げ、M&Aアドバイザリー、事業再構築補助金等の申請支援を中心とした経営コンサルティングを行っている。

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