価格交渉や価格転嫁をうまく進めるコツとは?物価高騰の時代、中小企業が取引環境改善のためにできること
2022年10月14日 | 会社経営のこと -Business-

長引くコロナ禍や世界情勢の不安定化によって原材料価格や燃料費、電気料金などが高騰しており、企業規模を問わず厳しい事業環境が続いています。その中でも、中小企業や小規模事業者からは、「当初見積もっていた価格で販売しても利益を確保できない。価格転嫁したいが交渉は難しい」といった声が日々上がっています。
では、このような状況を乗り越える方法はないものか?中小企業診断士の意見を踏まえて確認していきましょう。
中小企業や小規模事業者が感じる価格交渉や価格転嫁の難しさ
「仕入れ価格が高くなったなら、価格交渉などを通して価格転嫁する」というのは自然なことのように感じます。しかし、中小企業や小規模事業者にとっては、想像以上に難しいこと。その背景には次のような事情や背景が挙げられます。
- すでに見積もりを出して契約した上で取り組んでいるので、事後的に納品物の価格交渉をするのは商習慣としてなじまない
- もし価格交渉に応じてもらえたとしても、そのことが理由で今後の契約が打ち切られるリスクがあるなら、現状の条件下で耐える方が得策だと思う
- 価格を見直すとなると、発注元企業内の見込みにも多少なりとも影響が及ぶとわかっているので、「適切なタイミング」に交渉したいとは思っている。ただ、その適切なタイミングがいつなのか、掴めないままでいる
- 取引先に相談したとしても、「御社以外からは価格交渉の声をかけられない」と言われてしまうと、取り付く島もない
- コロナ禍もあって、交渉したくても機会を作るのが難しい
(参考:「価格交渉促進月間(2022年3月)フォローアップ調査の結果について」(令和4年6月22日中小企業庁))
ほかにも、それぞれの状況や条件、契約の背景など、複雑な事情が絡んで価格交渉や価格転嫁をより難しいものにしているのだと考えられます。

一方で、昨今では下請法などのガバナンス遵守の精神や「一緒に企業成長していこう」という考えのもと、大企業を中心に発注先企業との関わり方を変える、という流れも出てきています。
実際に、前出の「価格交渉促進月間(2022年3月)フォローアップ調査の結果について(令和4年6月22日中小企業庁)」では、「価格交渉をして、満額回答が得られた」や「担当者に、いつでも相談してほしいと言われた」といった中小企業や小規模事業者の意見が紹介されていました。また、同調査結果では、直近6ヶ月間に価格交渉の協議に応じてもらえた、とする回答が61.4%(n=25575。ただし、協議の結果、価格が変更されなかった場合も含む)になっています。
中小企業診断士が考える価格交渉・価格転嫁のポイント

前述のように、中小企業や小規模事業者にとって、価格交渉や価格転嫁は難関ではあるものの、まったく望みがないわけではなさそうです。ならば、どのようなポイントを押さえると、より望ましい展開に繋げられるのでしょう?中小企業診断士として活動する山田健一氏に意見を聞いてみました。
――中小企業や小規模事業者にとって、価格交渉や価格転嫁は難題です。一方で、原材料費等の高騰は続き、以前と同じビジネス環境とは言い難い状況でもあります。おもな発注元である大企業側は現状をどう考えていると思いますか?

