中小企業の経営者もサラリーマン増税の対象!~年収850万円超なら役員報酬を変更すべき?ライフプランへの影響は?~
2020年3月11日 | お金のこと -Wealth-

税制改正は私たちの家計に直接影響が及ぶもの。どのような変化が起こるのか、常に注目しているひとは多いでしょう。特に、「平成30年度税制改正」は「平成31年度税制改正」よりも私たちに影響があると考えられます。それというのも、平成30年度税制改正の内容は2020年1月1日から始まっており、所得税や事業承継税制、訪日外国人旅行客に対する税制など、各種税の制度が大幅に改正されたからです。
なかでも、個人の所得税に関する見直しは、「サラリーマン増税」というキャッチーなネーミングとともにTVニュースや新聞でも取り上げられ、大きな話題になっていました。
とはいえ、850万円超1,000万円未満の年収があるサラリーマンが“増税”の対象になる、との話なので、条件にあてはまらないひとは「消費税も10%になったのに、また増税だなんて大変そう」と、どこか他人事のように思われたかもしれません。
しかし、実際は「850万円超1,000万円未満の年収があるサラリーマン」だけでなく、会社から報酬を受け取っている中小企業のオーナー社長などにも影響があります。ここでは、そうし た中小企業のオーナー社長の暮らしに「サラリーマン増税」がどのような影響を及ぼすのか、紐解いていきましょう。
“サラリーマン増税”「平成30年度税制改正」の内容をおさらい

今回の税制改正はどのような内容で、どのようなひとに影響が生じているのでしょうか?簡単に復習しておきましょう。
●給与所得控除及び公的年金等控除の額が一律10万円引き下がった。(控除される金額が10万円ほど少なくなったので、逆に納税すべきお金が増えることになった)
→フリーランスや自営業として働くひとが増えたことを受け、税の格差が起こらないよう工夫された結果だと言われている。税の観点からも「働き方の多様化」を後押しするのが今回の税制改正の大きなポイントと言える。
●どのような所得にでも適用される基礎控除の額は10万円引き上げられた。この部分は“減税”とも言える。
●もっとも大きな影響を受けるのは、給与所得控除額を決める給与等の収入金額が年収850万円超1,000万円未満のひと。これまでの控除額は 【収入金額×10%+120万円】で算出されていたが、一律195万円へと変更に。

年収850万円超のひとの税額はどう変わる?
パーセンテージや計算式だけではいまひとつピンとこないかもしれません。そこで、まずは実際に年収850万円超のひとは昨年までと税額がどう変わるのか、計算して比較してみましょう。

上記の表のように、給与所得控除が【850万円×10%+120万円=205万円】だったものが、195万円へ。10万円控除額が引き下げられることによって、最終的な納税額は94.35万円になりました。年収がちょうど850万円のひとの場合、実際には影響が出ていないことが分かります。
このことについて、財務省が出した「所得税法等の改正」の、⑷給与所得控除額の上限額が適用される給与等の収入金額の「850万円」への引下げについて、という文章には次のようにあります。
「給与所得控除については、給与所得者の勤務関連支出や主要国の概算控除額と比べて過大となっていることを踏まえ、給与所得控除額が上限となる給与収入を850万円に引き下げることとされたところです。(中略)子育て世帯等に配慮することとされており、96%の給与所得者は負担 増にならない見込みとなっています。この給与所得控除が上限額となる給与収入の水準については、与党の税制調査会において、800万円超とする案も含め様々な議論が行われた中、最終的に、家計への影響や地方財政への影響等を総合的に勘案しつつ、850万円超とされたところです」
つまり、さまざまな議論を重ねた上で、大部分の世帯に影響が起こらないよう配慮して「850万円超なら家計や地方財政への影響がさほど大きくならないだろう」と判断・決定された、というわけですね。
では、前出の年収850万円のひとから100万円多く年収を得ている950万円のひとの場合はというと、以下のようになります。前年に比べて4万円ほど税額が上がっていることが分かります。

では、今回の税制改正の影響を受ける対象のうち最も高い年収である1,000万円のひとの税額はどうなるのでしょうか?これも、計算して昨年と比較してみたところ、昨年比4.5万円ほど税額が高くなっていることがわかりました。

平成30年度税制改正の注目点は、「収入が高ま るほど税額が高くなる」ところだと言えます。実際に、年収850万円のひとと年収950万円のひととでは30万円(昨年は26万円)の差が、年収850万円のひとと年収1,000万円のひととでは45万円(昨年は40.5万円)の差が生じています。
サラリーマン増税が中小企業のオーナー社長も対象になるのはなぜ?

では次に、「サラリーマン増税」という名称ではあるものの、中小企業のオーナー社長のうち「会社から経費として報酬を得ているひと」も増税の対象になる点について見てみましょう。
―なぜ、中小企業のオーナー社長は「社長」なのにサラリーマン増税の対象になるか?
今回の増税は給与所得者が対象となっており、会社から役員報酬で年収850万円超を得ているひとも対象となります。
役員報酬とは、法人税法上、役員にあたる人に対して会社から支払われる報酬のことを言います。毎月一定額を支給することで、企業は経費として扱うことができると定められており、多くの中小企業では、定期同額給与、つまり、一般社員が受け取る毎月の給与のような形で渡しているのがほとんどです。
そのため、厳密に言うとオーナー社長だけでなく役員も“サラリーマン増税”の対象に含まれます。

