渋澤健は人生100年をどう歩く?~安渕の未来ダイアログ 第4回

#お金 #安渕の未来ダイアログ #人生100年 #インタビュー

これまでの“当たり前”が通用しなくなるかもしれない、という漠然とした不安がつきまとう「人生100年時代」。もうすでに、「お金のこと」やそれを生み出すための働き方、個々のスキルの磨き方など、これまでは「こうすれば上手くいくだろう」と思われてきたことに疑問が投げかけられることが増えてきたよう思われます。

しかし、こうした“長い間、一般的とされてきた価値観”が揺るがされるような局面に向き合うことは、人びとにとって初めてのことではありません。日本では、今からおよそ150年前、明治維新の時代を生きた人びとも、今日の私たちと同じように「新しい時代」に不安と期待を感じていたことでしょう。

そこで、第4回『安渕の未来ダイアログ』では、「未来志向の日本人が全国から、長期投資を通じて最良な企業と出会える場を提供すれば、持続的な価値創造が可能になる」という想いを掲げて独立系投信会社「コモンズ投信株式会社」を立ち上げた取締役会長 兼 ESG最高責任者の渋澤健さんとともに、日本初の銀行「第一国立銀行」を設立するなどして激変する時代を駆け抜けた渋沢栄一に思いを馳せながら、お金のつかい方を再定義したり、これからの生き方について考えてみました。

変化に強いのは、生まれた立場ではなく能力を対等に評価する社会

安渕:「人生100年時代」という言葉と同様に、近年注目されているのがESG投資やSDGs、CSVやサーキュラーエコノミーなど、サステナビリティ(持続可能性)を意識した概念です。とりわけ、欧州ではESG投資やサーキュラーエコノミーについての議論と実践が盛んになっています。アクサ生命はフランス発のグローバル企業なので、私たちの行動指針や取り組みすべてにこの意識を行き渡らせるように努めているところです。

一方、日本では、これらを「新しい資本主義」に紐付くものと捉える向きがまだ少ないように感じています。「日本の資本主義の父」と言われる渋沢栄一翁のご子孫として、渋澤さんは現状をどのように見ていらっしゃいますか?

渋澤さん:アクサ生命はフランスの企業、とのことですが、渋沢栄一もフランスに縁がありました。彼は27歳のとき、徳川慶喜公の弟である昭武に随行し、パリ万国をはじめ欧州諸国の実情に触れたと伝わっていますが、最初の渡航先がフランスだったそうです。そう考えると、日本に持ち帰った西洋の知識は「メイド・イン・フランス」のものだったのではないか、と思います。

江戸末期の日本は、いまだ封建社会で、武士が“えらい”商人は“いやしい”という身分制度がまかり通っていました。しかし、渋沢栄一が見て回ったフランスでは、武士に相当する軍人と商人に相当する銀行家とが対等に話す、つまり、生まれた立場ではなく能力が対等に評価される社会が広がっていたわけです。その様子を目の当たりにして驚き、そうした考え方を取り入れたいと突き動かされたのではないか、と思います。

安渕:そんな渋沢栄一も、埼玉の農家の息子として生まれ、まず武士を目指し、明治維新で偶然にも機会を得て官僚になり、そして実業家となって近代日本を創っていったわけですね。

渋澤さん:そうです。当時の時代の流れを大きく俯瞰すると、好むと好まざるとは別にして、日本は与えられた環境や条件を受け入れる状況だったと考えられます。一方で、フランスは民主主義を勝ち取ったあとでした。

この日仏の違いから当時の「先進国になるかどうかの分かれ目」について考えると、古い時代が安定して続いていく時代なら秩序を重んじることで安定が続いていくと言えたのでしょうが、時代が大きく変わるタイミングでは、“お行儀よくしている”と出遅れてしまいますよね。そんな混迷の時代には、それまでの秩序やルールよりも、正しく能力のみを対等に評価することで花開く何かがあったでしょうし、明治維新のころはまさにそういう時代だったのだと思います。

今日、日本もそろそろ新しい時代の幕が開けようとしているのですから、改めて個の力を正しく評価することがより重要になると考えます。

渋沢栄一が唱えた「合本主義」がいま求められている

安渕:日本は随分長い間「課題先進国」と言われ続けています。それが「混迷からの模索」を意味するならば、日本から生まれた何らかの新しい主義や哲学を発信できるのではないか、と思うのですがいかがでしょうか?

渋澤さん:確かに、日本はそうした発信がうまくできていないと感じます。もしいまの日本から発信できることがあるとするなら、そのひとつは渋沢栄一が提唱した「合本主義」かもしれません。

「近代日本資本主義の父」と言われる渋沢栄一ですが、実は本人は「資本主義」とは言っておらず、「合本主義」という言葉をつかっています。ここからは私の解釈も入りますが、渋沢が設立した第一国立銀行は今風に言えばベンチャー企業であったのですが、その存在感を示すために掲げたメッセージが「一滴一滴のしずくを集めれば大河になる」でした。

これを今の時代の文脈に合わせて表現するなら、「価値を作るのは、株主だけでも、経営者だけでも、経営者と社員とだけでもない。仕入先やお客さまがいなくては始まらないし、より広く考えるなら、社会全体の仕組みが必要だ」ということだと考えられます。それぞれがそれぞれの役割を持っていて、そのすべてで価値を作っていくものなのだ、ということです。

社会を構成する個々がひとつに集まるには、「共感」と、お互いの得意なことなどを補い合う「共助」が必要で、これが成り立つことで「共創」が始まります。つまり、渋沢栄一が考えた「合本主義」というのは、共感によって寄り集まって、共助によりお互いを補い合い、よりよい明日を共創すること、と言えるでしょう。

これはまさに、2019年の米経済団体ビジネス・ラウンドテーブルが言及した「ステークホルダー資本主義」の考え方と同じではないか、と考えています。2020年の「世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)」のテーマも「資本主義の再定義」でしたが、そうした潮流を見ると、日本で明治のころに生まれた「合本主義」の考え方こそがいま求められているのだろう、と思うのです。

これまでの“モノサシ”では測れない価値を~ESG投資とSDGsの達成~

安渕:合本主義がいま注目されている「ステークホルダー資本主義」だというのは分かりやすいですね。一方で、ステークホルダーの利益をどう測るか、というのは難しい問題だと考えています。

渋澤さん:そうですね。日本でよく持ち出される「三方よし」という近江商人の考え方がありますが、いま何が求められているかというと、「売り手には利益を得る『よし』があり、買い手は価値を得る『よし』がある。では、第三者である世間や社会にとっての『よし』は何か?」という問いの答えです。いまのところ、漠然としていて、第三者にとっての「よし」が何か、明確に示せてはいないと思います。

投資の世界で近年メジャーになりつつある「インパクト投資」は、世の中にプラスの益をもたらす「社会的インパクト」を意図しながらもそれがきちんと持続できるように経済的リターンも求めていく、という投資手法ですが、これはまさに、第三者にとっての「よし」を明らかにしようと追求するものなのだと思います。そして、この考え方を突き詰めると、『論語と算盤』、道徳観と実利の両方を実践していく、ということになるのだと見ています。ここで重要なのは、論語にあたる社会的な「よし」も、きちんと効果を測定する評価基準が不可欠で、「社会貢献しています」という言葉だけではダメだ、ということです。

安渕:おっしゃる通り、世間に対する「よし」の内容や影響を明らかにすることは大切ですね。これは、行なったことだけを見るのではなく、その成果や結果を見て社会的インパクトを測る、ということであり、「いくら社会貢献をしていても、それを長く続けるためには、成果や結果を可視化する正しい評価基準を持っていなければ、次の『よし』を作ることが難しくなるときがいつかきてしまう」ということにもつながると思います。

渋澤さん:「よし」について、個人レベルで素晴らしい行為や行動を評価することはできます。しかし、機関投資家や投資家たちは、顧客から資産を預かっている立場だからこそ、きちんと判断できる数値化された評価基準がなければ、「この『よし』は、投資ができる相手かどうか」という目線で見ることはできないものです。

ただ、逆に、どのような社会的インパクトがあるか判断できる評価基準が明確になっていれば、「よし」の取り組みに投資が促され、結果として社会はよりよくなっていく、と考えられます。

安渕:いまおっしゃったような新しい考え方は、企業を測る“モノサシ”が変わる、ということを意味するのかもしれませんね。これまで用いられてきたROE (Return On Equity)のような単純な資本効率や一株あたり利益といった評価指標ではない基準が投資のあり方を変えていく、というふうになっていくかもしれません。

そうなれば、企業活動そのものも、「利益」や「効率」という概念すらも変化していくでしょう。企業は、直接の成果だけではなく、まさに社会的インパクトを新たな指標として経営目標を立てるという、資本主義の誕生以来の変化が訪れます。そういった新しい世界では、企業は「そもそもわが社は何のために事業を行っているのか」という、存在意義を再定義する必要が出てきます。

社会的インパクトとそのリターンは何か?試行錯誤し続けることが重要だ

安渕:評価基準と投資家の目線についての話が出たので、ここをもう少し深掘りしたいと思います。ESG投資やSDGsの達成について、投資の世界ではどのような議論が進んでいるのでしょうか?

渋澤さん:きっと、これまでの経済的リターンのみを評価基準とするところから、一歩先に進むようになるのでしょうね。

今年の2月に、国連開発計画(UNDP)の「SDGインパクト」というSDGsを達成するにあたってのグローバル基準づくりと認証を策定するプロジェクトの運営委員会に出席したのですが、そこである委員が、「いままでESG投資は財務的な価値だけではなく非財務的な価値の情報開示をどれだけしっかりと行なっているか、ということに注目して企業を評価する傾向が強かったが、今後は『どのように社会的インパクトの達成を目標として測定しているのか?』という視点の判断基準が加わるのではないか」という意見を述べておられました。

これは、例えば、「CO2排出削減しました」ということだけでなく、多方面な関連指標を測定し、より包括的に社会的インパクトを達成しているのか?というところまで含めて議論する、ということを意味しているのだと思います。

安渕:なるほど。私も社会起業家のひと達と話す機会があるのですが、折に触れて「あなたのやっている事業がこの先うまくいったとすると、それで得られるのは単なる売り上げや利益ではないですよね。だから、あなたがもたらす価値についての独自の評価指標をつくっていってください」と、アドバイスしています。それはまさに「社会的インパクトをどのように表すのか?」ということだと考えています。

評価基準は、取り組みによっては、「何万人に利用された」なのかもしれないし、「どういうことが起こった」なのかもしれません。いずれにしても、自分たちが「世の中をよくしたい」と考えて行なったサービスの結果はどうだったのかに加え、どんな影響があったのか、社会はどう変わったのか、という視点が、これまで考えられてきた以上に重要になってきているのだと言えそうです。

渋澤さん:そういった、「社会的リターンとは何か?」という評価基準についての議論は20年ぐらい前から勉強会などで議論してきましたが、私は当初「それは無理だ」と思っていました。それというのも、身近な例として、子どもの笑顔は多くのひとの心を癒してくれるインパクトがありますが、これが与える社会的リターンの測定を数字で表すことができないと思ったからです。

しかし、いまの私は、「確かに正しく測ることは難しいかもしれないけど、大事なことは測ろうと試行錯誤することだ」という考えに変わってきました。評価の仕方をトライアンドエラーして問い続けることが重要だ、ということです。

安渕:運用の世界では、これまでも、さまざまな金融指標が、その組み合わせも含めて取り上げられて来ましたし、産業のテーマ別投資ポートフォリオの運用と言った商品もありますが、これまで測れなかった価値やインパクトを測ろうと試行錯誤するというのは、全く新しい動きだと思います。運用会社側もこれまでにないスキルやアプローチを求められますし、消費者も選択肢が増え、自分の価値観に合ったものを選べる。そうなれば、長期的に投資することで、自分の実現したい社会、こうなって欲しい未来を創ることが出来るという、とてもポジティブなサイクルが生まれる気がします。

渋澤健が考える人生100年時代の幸せとお金の定義

安渕:大きな意味での「お金のつかい方」について話してきましたが、渋澤さんは「お金」をどう定義していますか?『論語と算盤』では、正しい道理の富、という考え方が何度も出てきますが、人生100年の幸せを考えるうえでのお金を定義するなら、どうなるでしょうか?

渋澤さん:まず、お金とは、ひとにとって水のような存在だと思っています。少なければ喉が渇いてほしくなるし、飲みすぎると苦しく中毒にもなる、なくてはならないけれど、多すぎればいいというものではないでしょう。また、よく「お金には色が付いていない」と言われますが、逆に言えば「色を付けられるもの」でもあると考えています。

お金を水であると捉えると、貯めておきたい、と思うものですよね。しかし、水は循環させないでいると腐ってしまうのもご承知の通りです。適度に動かさなければいけないでしょうし、もし木にやれば果実を得ることもできるでしょう。これが投資なのだと思います。

投資について語るなら、「投資」という漢字はふさわしくないように感じています。資金や資産を投げる、なんて誰だって嫌ですよね(笑)。

英語では投資のことを「invest」と言いますが、これは、「ベスト(チョッキ)にインする」というニュアンスを感じさせるいい言葉だと思います。自分の生活圏の枠の外からさまざまな成長や視点を呼び込むことができる引き換え券のチケットのようなものであり、それを自分のベストに縫い付ける、というイメージなのでしょう。少なくとも、丁半バクチのように「儲かった!損をした!」というものではないのです。

私は、人生100年ではなく、80年を強く意識し、40歳のころ「自分の人生が半分終わったかも」と思って自分の人生を振り返り、最初で最後の「独立できるかもしれないチャンス」を感じて独立しました。その時ちょうど子どもが生まれたこともあり、子どもが将来新しい挑戦をする時の応援資金を作ろう、それなら「長期積立投資がいいだろう」と考えた親から子どもへの想いが、数年後にコモンズ投信を立ち上げるきっかけのひとつになりました。

長期積立投資の利点は、私個人のことだけではなく、少子化と高齢化が同時に進み人口動態が逆ピラミッド型になっていく日本社会にとっても意味があると言えます。お金がある世代はいいのですが、逆ピラミッド型の社会における現役世代は、意識して投資をして資産形成をしないと、老後が厳しくなると予測されます。だから、現役時代にできる範囲で積み立てていくことが大事だ、というわけです。

MeがWeに変わるお金のつかい方

安渕:長期積立投資とは、自分のベスト(チョッキ)に将来を豊かにするチケットを縫い付けていくことだ、とおっしゃっていましたが、同時に、投資には、その行為を通じてさまざまな企業の事業や歴史や経営について知るという、社会参加の側面もあると思います。これを子ども達にどう伝えるといいでしょうか?

渋澤さん:そうですね。コモンズ投信では、親子でお金や社会について学ぶ「こどもトラストセミナー」という機会を設けて、子ども達に、つかう・貯める・寄付する・投資するという「お金でできる4つのこと」について話しています。

ひとつ目の「何か欲しいものを買うためにつかう」は日頃行なっているのですぐに分かってくれますし、ふたつ目の「欲しいものがあるけれど今のままでは買えないから貯める」、というのも簡単に理解してくれます。その次は「寄付」ですが、これも子ども達は必ず分かってくれるんですよ。

寄付について話す際、まず「困っているひとがいたら助けたいよね」と問いかけます。するとみんな「そうだ」と答えます。しかし「もしそのひとが遠くにいたら?」というと、自分は何もできないことに気付いてか、表情が曇ってしまいます。そこで「自分が行けなくても、誰かに代わりに行ってもらうことができるかもしれない。そのひとのためにお金を渡すことが寄付なんだよ」というと、顔がパッと明るくなるし、寄付の意味を分かってくれます。

このとき、気付いてもらいたいのは、ひとつ目とふたつ目が「me」に対するお金のつかい方であるのに対し、三つ目はmeの“m”がひっくり返って「we」のお金のつかい方になっている、ということです。

そこから、「世の中にはたくさんの会社があって、お客さんが欲しいと思っている商品やサービスを提供する。お客さんは『ありがとう』と言って代金を払う。そして会社は「ありがとうございます」と代金を受け取り、子ども達のお父さんやお母さんみたいに働いているひとに「ありがとう」と給与を払う。それをもらうひとは「ありがとうございました」とお金を受け取り、だから、みんなはお食事をしたり、おもちゃを買ってもらったりできるんだよ。つまり、経済は『ありがとう』の連鎖で成り立っていて、それを応援する方法のひとつが投資なんだよ」と、投資とは何かについて伝えます。これを聞くと、子ども達だけでなく親御さんも「なるほど」と、納得してくれます。

安渕:確かに、「ありがとう」と思うことを応援するというのが、社会参加の第一歩になりますね。投資に対する見方もそうやって説明されると見方が変わるでしょうし、「みんなが喜ぶことをしてくれている会社に投資してみよう」と一歩踏み込んで考えるきっかけになるように思います。ちなみに、渋澤さんは金融教育を受けたことはありますか?

渋澤さん:私は、小学校から大学まで米国にいましたが、少なくともその当時、学校で投資や金融などお金の教育を受けた、という記憶はありません。しかし、隣家の庭先の芝刈りをしてお駄賃をもらったり、レモネードスタンドでドリンクを売ってお金を得たり…労働で価値をもたらすと対価がもらえる、ということを体験から感覚的に知っていきました。

日本の場合は何の価値も与えていないのに、お正月になるとお年玉としてお金をもらい、横から親が出てきて「これは預かっておきます」と、どこかに持って行ってしまいますよね。これではお金を得ることに現実味を感じられないように思います。

安渕:誰かのために、何か「ありがとう」と言われるようなことをすると対価がもらえる、というのが、やはり子ども達には最初に覚えて欲しいことです。

英語で「稼ぐ」を意味する「earn」という言葉がありますが、これには、自分の力でもって何かを得る、信用や評判を博する、という意味もあります。お金を稼ぐということだけではない、信用にもつながる、ということが「お金を得る本質」なのだと言えるのかもしれません。

「メイド・ウィズ・ジャパン」がチャンスのカギ

安渕:さて、最後にみなさんに聞いてきた質問を渋澤さんにもしたいと思います。渋澤さんは人生100年について、ポジティブですか?また、どんなことを期待して人生100年を歩んでいこうと考えていますか?

渋澤さん:実は、自分の人生のなかで「2020年」は楽しみにしていたタイミングでした。これが日本社会の節目になる時だ、と思っていたんです。

私は、明治維新から150年の間、30年周期で日本には変化のタイミングが訪れていると捉えています。明治維新から30年は、江戸時代の意識を破壊していくタイミング、そして日露戦争以降は日本が先進国の仲間入りをしようとする時期が訪れ、その時代のなかで最も豊かなで爛熟した状態だった大正時代を謳歌しました。そうするとおごりが生じ戦争の時代に突入し、破壊を経験することになり、再びイチから高度経済成長を遂げ繁栄する過程へと進みました。直近の30年は、バブル崩壊と衰退、破壊が起こったのだと見ています。

いま、終身雇用の崩壊や働き方の転換が起こっていますね。この破壊によって、昭和のピラミッド型社会の“常識”が激変しつつあります。団塊世代や団塊ジュニアの世代がリタイアし、世代交代が起こっている最中だ、とも言えるでしょう。ここで大切なのは、過去の成功体験にとらわれずにスムーズに新しい成功体験を重ねられるか、ということです。

安渕:いまは、新しい成功体験とはどんなものか、探している状態とも考えられますね。だから、先行きが不透明で漠然とした不安を感じるのかもしれません。

渋澤さん:私は、未来には「見える未来と見えない未来」があると思っています。例えば、人口動態はある程度「見える未来」ですが、どちらに転ぶかわからない「見えない未来」もたくさんあります。

ただ、ひとつ確実なのは、今日の「見えない未来」の主役は、デジタルネイティブと呼ばれる30代以下のひとたちだと言うことです。インターネットを使いこなして国境を越え、テクノロジーの助けを借りて言語の自由さも獲得した彼らは、「世界とつながっている」と感じる可能性を持っている世代だと思うのですが、その「スイッチ」が入ってくれるか…。これが重要だと思います。

私がこのことに注目する理由は、日本では少数派とされる20~30代が世界を見回すと実は世界ではマジョリティだからです。特にその年代の若者が多い新興国の「仕事について生計を立て、家族を養いたい」という意識は“成長の伸びしろ”であると考えられますし、このニーズに対して価値を提供できる何かがあるとしたら、それはビジネスチャンスになると考えます。

では、そんな世界と私たちがどのように関わるか、と想像すると、「メイド・ウィズ・ジャパン」、つまり、新興国のひと達と一緒に価値をつくる、という考えが重要になると思っています。

私はその成長に投資するインパクトファンドを試してみたい、と考えています。同時に、ネットワークや人材はなくても技術がある、という日本の中小企業などの手助けや投資を、官民ファンドで行なってSDGsの達成につなげていくことも構想しています。

安渕:それは世界平和につながる道になるかもしれませんね。そうした大きな変化の時代に、過去の成功体験を知っているひとは何か手助けできるでしょうか?

渋澤さん:先日お会いしたひとが、「日本は、ある国のエリートだったひとが難民としてやってきていても、そのひとの能力やこれから起こすかもしれないインパクトをきちんと支援できていない」と指摘していたのが印象に残っています。そうした背景をもって難民としてやってくるひとは、自国のために何かしたい、帰国して国をよくしたい、と思っているはずだから、共同作業していく道があるはずだ、と言うのです。その際に、過去の成功体験が生きるかもしれませんね。

さまざまなアイデアがありますが、「こういうことをしたい」と旗を立てると集まってくるひとは多いと分かりました。いまは、33歳で「第一国立銀行」というベンチャー企業を立ち上げた渋沢栄一と同じような気持ちでいます。


対談を終えて

渋澤健さんのお話は、とにかくわかりやすく、渋沢栄一翁の思想も今の時代に合わせて翻訳し説明してくれるので、我々にもスッと理解できるようになります。例えば、渋沢栄一が唱えた「合本主義」を、「共感によって寄り集まって、共助によりお互いを補い合い、より良い明日を共創すること」と説明されると、素直に受け入れられますし、今我々に必要な考え方だとも思えるわけです。

渋澤さんと知り合ってもう10年以上となりますが、6年前に渋澤さんが主催する「論語と算盤経営塾」の第5期生として私が参加したことから、ぐっと関係が深まりました。この経営塾は、20代から70代まで多様多彩な参加者がいて、とても勉強になると共に素晴らしい仲間ともめぐり会えます。今では第1期から11期までがつながる、大きな知のネットワークとなっています。

今回の対談では、お金、長期積立投資、社会的インパクト、新しい「モノサシ」などの話題を取り上げてしっかりと議論することができました。そして、最初の方で渋澤健さんが言われた「日本も、改めて個の力を正しく評価することがより重要になる」という言葉が、まさに目下のキーワードとして、私の記憶に深く残りました。

渋澤健(写真左)
シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役。コモンズ投信株式会社取締役会長。83年テキサス大学化学工学部卒業。財団法人日本国際交流センターを経て、87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。JPモルガン、ゴールドマンサックスなど米系投資銀行でマーケット業務に携わり、96年米大手ヘッジファンドに入社、97年から東京駐在員事務所の代表を務める。2001年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。07年コモンズ株式会社を創業(08年コモンズ投信㈱に改名し、会長に就任)。経済同友会幹事、UNDP(国連開発計画)SDG Impact運営委員会委員、外務省「SDGsを達成するための新たな資金を考える有識者座談会座長、等。

安渕聖司(写真右)
アクサ生命保険株式会社 代表取締役社長兼CEO。1979年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱商事株式会社に入社。東京、仙台、ロンドン勤務を経て、90年ハーバード大経営大学院修了。99年リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。リップルウッド・ジャパン株式会社エグゼクティヴ・ディレクター、UBS証券会社マネージングディレクター、GE コマーシャル・ファイナンス・アジア上級副社長を経て、09年GE キャピタル・ジャパン社長 兼CEO、17年ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社代表取締役社長を歴任、19年より現職に就き現在に至る。兵庫県神戸市出身。

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