保険の選び方のポイント【現役世代向け】想定外に備える手段としての意義と価値
2023年04月24日 | お金のこと -Wealth-
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人生100年時代を生きる現代の現役世代は、寿命が伸びることによって、従来以上に「想定外の事態」に直面する可能性が増えると考えられています。それを踏まえ、資産形成や貯蓄、保険を活用して万が一に備えるのは有効な選択肢です。しかし、本当のところ、「保険」は現役世代にとってどういう場面で役に立つのでしょうか?ファイナンシャルプランナーが実際に向き合ったエピソードをモデルケースに、紐解いてみましょう。
万が一の入院で必要になった想定外のお金の話
まず、自分自身に起こる「想定外」で「予測不可能」なことについて、Aさんを主役に見ていきましょう。
Aさんは、「いつも元気いっぱい!これまで一度も入院なんてしたことがない!」というのが自慢の子育て世代のひとりです。楽しくも忙しく過ごしていたある日、体の不調が気になって受診した病院で思いがけず病気が発覚。開腹を伴う手術を受け、長期入院することになってしまいました。
病気が見つかった当初は驚きと不安、何より「どうして自分が!?」という思いで混乱していたAさんですが、いい主治医が見つかり、術後の経過も良好。「早く全快して、また普段の生活に戻らなくては!」と、リハビリへの気力も十分です。
しかし、医師から「ベッドで絶対安静でいるのではなく、早期回復のためにも歩くように」と指導されると、状況は一変します。
初めての手術ということも相まってか、ベッドから降りてスリッパを履き、点滴台を持ちながらトイレに行くことが相当なハードルに感じられ、挫けそうになってしまいました。ついには、「トイレの個室で用を足し、出ようとする一歩目が本当に辛い!」と、心が折れそうになる事態に。「なるべくトイレに行かないですむように」と我慢した結果、膀胱炎の疑いまで出てきてしまいました。
「生理現象だからこそ、毎回煩わしい思いをするのは耐えられない」と、Aさんは医師に状況を伝え、無理をお願いして大部屋の病室からトイレが備わった個室へと変更してもらうことに。「これなら個室内のトイレが使えるので、最小限の移動でいいし、広々使える。最悪の場合、扉を開けたままでも個室だから誰かに迷惑をかけずに済みそうだ」と、ひと安心のAさんは、気持ちを新たにすることができました。
ここまでなら「病室が大部屋から個室に変わるので、ベッド利用の差額が必要になる」という話なので、「それをどう医療保険でカバーするか?」という発想になりそうですが、本当にそれだけで十分でしょうか?
Aさんのことをより深掘りして、「本当に必要なお金やAさんとその家族が直面する問題」を詳しく見てみましょう。
Aさんが世帯主の配偶者(無収入もしくは世帯主より低収入者)だった場合

まず、「AさんにはBさんという世帯主の配偶者がいて、小学生の子ども2人を育てている」という立場だった場合を考えてみましょう。
Aさんが入院して手術からリハビリ・退院までの間、普段はAさんがしてくれている毎日の食事の用意や後片付け、洗濯や掃除などの家事全般、お子さんのお世話はもちろん、入院中のAさんの身の回りのことも、世帯主たるBさんが一手に担うことになります。もちろん、Bさん本人も日中は仕事があるので、漏れなくすべてをこなすのは現実的ではありません。
幸い、このご家庭の場合、近くにAさんとBさんそれぞれの両親が住んでいたため、手伝いに来てもらえることになりました。
まだまだ元気いっぱいの両親達は、最初のうちは「お互い助け合いだから!」と、快く家事全般やお子さんのお世話を手伝ってくれていたのですが、Aさんの入院期間が長引き、手伝うことが日常になり始めるとだんだん無視できない負担感を覚えるように。特に、お子さん達がまだ小学生の育ち盛りなので、体力が続かず、「このままこの生活を続けるのは難しそうだ」と思い始めるようになりました。
そこで考えたのが家事代行とシッターサービスの利用です。とはいえ、休日を除く週5日のサービス利用は、費用面の問題も無視できません。また、派遣されるシッターと子ども達の相性を見るため、Bさんは有給休暇を活用したり、欠勤したりせざるを得ない日も出てきました。
また、Bさん自身も日々できる限りお子さん達に寄り添おうと考え、時間を確保すべく残業を断ったり、大きなプロジェクトへの参加を辞退したりすることに。これまでの仕事の仕方を大きく変える必要も出てきました。
そうなると、当面の暮らし以外にも変化の影響が出始めます。このご家庭では、Bさんの収入をもとにマイホーム購入後のローン返済計画を立て、子ども達の教育費等を含むライフプランを想定していたので、当時考えていたキャリアプランを大幅に見直すとなるとライフプランの変更も避けられません。
世帯主以外の入院や万が一のことを想定していないケースは意外と多い


