赤司展子さんと人生100年時代~安渕の未来ダイアログ 第9回

#お金 #安渕の未来ダイアログ #人生100年 #インタビュー #健康 #ライフスタイル

「金融教育」が、学習指導要領の改定によって2022年度から高校の必修科目である家庭科の授業で教えられることになりました。また、すでに小学校では英語が必修化しているなど、学校教育の現場は近年、大いに変化を遂げています。
一方、社会人の学び直しを意味する「リカレント教育」の重要性が語られるなど、大人にとっても「学習・教育」と向き合う機会が増えています。

今回はそんな「教育」をテーマに、札幌新陽高校校長であり、ウィーシュタインズ株式会社代表取締役や一般社団法人STEAM JAPAN理事など多様な活動を続ける赤司展子さんをお招きし、人生100年時代の学びのあり方について、議論を深めました。

複業する校長の誕生

安渕:赤司さんとは長く交流がありますが、ある日「高校の校長にならないかという話がきているのだけれど、どう思うか?」と相談を受けた時には、驚きと羨ましさを感じました。社長にならないか、というオファーは貰ったことがありますが、校長先生のオファーは本当に稀有なことなので、「断るなんてありえないよ!」と言ったのを覚えています。

赤司さん:そうでしたね。私の中ではある程度、お受けすることを決めていたのですが、「組織を統括するリーダーシップとは何か?」ということについて安渕さんの意見をお聞きしたくて連絡しました。プロジェクトリーダーの経験はあっても、大人数の組織での社長や校長のようなポジションの経験はなかったので、少し不安に感じていたからです。

「リーダーシップは影響力。私がリーダーとしての影響力を発揮するのはもちろん、学校にいるすべてのひとがリーダーシップを発揮し合える組織をいかに作れるかが活気ある組織になるかどうかの鍵になる」とのアドバイスをあの時いただき、気負う気持ちが少し軽くなりました。

安渕:高校には専門性も経験もある教員のみなさんが多くいるので、そのひと達が今まで以上に頑張れる環境を作っていけばいい、と話しましたね。どんどん権限を移譲して、決める人に責任をきちんと持ってもらい、自律した組織を作れたらいい、とね。

教育現場との繋がりは福島での経験~人生100年時代を歩む子ども達に何ができるか?~

安渕:校長になってもうすぐ1年になると思うのですが、そもそも教育現場とのつながりを持つようになったのは、どういったきっかけがあってのことだったのでしょうか?

赤司さん:東日本大地震のあと、2014年から2016年まで福島にいて、子ども達と関わるようになったのが始まりです。

そこでの時間を通して、人生100年時代を生きる世代であるこの子ども達がこれからどんなふうに歩んでいくのだろうと考えることが、自分の人生100年を考えるよりはるかに大きなテーマになりました。特に、人生の中でたびたび立場が変わる、マルチステージを生きる中で「どういう力が必要か」ということに、より意識が向くようになりました。

安渕:福島では具体的にどのようなことをしていたのですか?

赤司さん:当時在籍していたPwC Japanから出向して、福島県双葉郡の教育復興プロジェクトに参画していました。

「3.11という世界で誰も経験したことがない大変な事態を超えて、子ども達への教育はどうあるべきか?」という問題に対してのビジョンはすでに描かれていたのですが、それを具現化するプロジェクトマネージャーが現地におらず…。そうしたところに乗り込んで行き、ビジョンをアクションプランに落とし込み、新しいカリキュラムを作っていったのです。

そのほか、外遊びができなくなった子ども達が少しでも遊びを楽しめるよう室内運動会やスイカ割り大会をするなど、本当にさまざまなことを実行していきました。

安渕:それが直接的に教育に携わるきっかけになった、というわけですね。

赤司さん:そうです。それまでは事業会社の再生などの仕事をしていたので、まったく教育との接点はありませんでした。

STEAM教育とは学びのアプローチやマインドである

安渕:現在社長を務めているウィーシュタインズでは、近年教育界で注目されているSTEAM教育を実践されていますね。STEAM教育とは、赤司さんが理事をつとめる一般社団法人STEAM JAPAN の公式サイトによると、「科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)。アート(Art)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念。 知る(探究)とつくる(創造)のサイクルを生み出す、分野横断的な学び」を意味するとのことですが、どういった経緯でそれを導入しようと考えたのでしょうか?

赤司さん:はじめから「STEAM教育をやろう!」と思ったわけではありませんでした。

まず前提として、先生達が実践されている教育は本当に素晴らしいものです。しかし一方で、私自身を振り返ると、子どもの頃から「枠にはめられなくて、脱走するタイプの子」でしたし、福島での経験から、「もっと学びが多様であっていいはずだ」と思うようにもなりました。それが、子ども達一人ひとりのペースに合った学び方や興味関心に寄り添った学習の多様化ができないか、と考え始めたきっかけです。

安渕:子ども達それぞれの探究心とか好奇心に寄与する教育の実践、ということですね。

赤司さん:はい。そのためには、興味関心や好奇心、ワクワクといったポジティブなものだけでなく、葛藤のようなネガティブなザラザラとした感覚も大切にしたいな、と思うようになりました。

安渕:そういったモヤモヤは子ども達がとても知りたがるけれど、大人はあまり説明してくれないものだったり、説明できないものだったりしますよね。

赤司さん:そうです。そうしたものに対して、子ども達が臆せず「どうしてなの?」と素直に疑問を口にでき、大人も聞こえないふりをするのではなく一緒に考えられるようになったらいい、と考え始めたのです。

安渕:これまでの「すべて正解のある教育」ではなくて、みんなで考えたり、みんなが納得する事柄を追求したりする、「納得解の世界」への切り替えをしようとしている、という感じですね。

赤司さん:そうですね。社会に出たら正解が分かっているものはほんの少しで、「これ」という答えに最短距離で進むことができるなんて、ほとんどないことです。もちろん知識を学ぶことは必要ですが、それだけではなく、もっとリアルなものから学んだり、子ども達の好奇心から学びを深めたり、そのために実際にやってみるということを追求したいと思いました。

そうして、学びには「オーセンティックなものと、クリエイティブなものが必要だ」と考えるようになり、それを目指すのが「STEAM教育」と言われているのだと知ったのがSTEAM教育との出会いです。

それ以降、STEAMという考え方を実践している世界の教育現場を片っ端から見学し、「私の考えていたことと同じだった。なら、私もSTEAM教育という看板を掲げよう」と決めました。

私は、STEAM教育をメソッドではなく、学びのアプローチやマインドセットに近いものだと思っています。そのため、これを体験的に学ぶカリキュラムも展開しているんですよ。

日常にSTEAMを取り入れるための心がけとは?

安渕:教育アプローチとしてSTEAM教育をやっておられるとのことですが、それならば学校だけでなく、日常でも取り入れられるものだと感じました。日常で子どもと接する際、親として意識するといいことや変えた方がいいことなど、接し方のアドバイスはありますか?

赤司さん:「大人はすべてを分かっていなくてもいい」というマインドから始まるといいと思います。やはり先生や親の立場としては、子どもに尋ねられたらきちんと答えなければ、と思うものですが、そうではなく、「一緒に答えを探してみよう」とか「やってみよう」という意識が何より必要なのだと思っています。

大人にだって、好奇心やワクワクする気持ちはあるもの。それを忘れず、自分自身で問いを立てることを大事にすることで、子ども達と一緒にSTEAMを楽しめるのではないでしょうか?

安渕:確かに、自分自身で問いを立てること、それも正しい問いを立てて、複数の答えを追求することは年齢を超えて重要なことですね。私もビジネススクールに通い始めた時に、「問いが間違っていたら答えは必ず間違う。だから、本当に問うべきことは何かということこそ考えなければならない」と教わりました。それは根本的な発想として持っておきたいことですね。

赤司さん:今日、創造的な問題解決が求められると言われますが、その創造性の原点は子どもの頃にすでに持ち合わせているのだと思います。

安渕:そうした創造性の部分は、アートの領域とも密接に関連するように思います。

赤司さん:私もそう思います。今、アーティストのみなさんとの接点が増えているのですが、彼らを見ていると「思っていた芸術家とは少し違うのだ」と気付かされます。それというのも、私は芸術家と言えば、岡本太郎さんのような「芸術は爆発だ!」というひとばかりだと思っていたのです。

しかし、私が接するひと達はむしろ科学的であったり、数学的な考えをするひと達に似ています。丹念にリサーチしたり、詳細にいろいろなひとからヒアリングを重ねたりして、それを昇華させつつ最後は自分の意思で作りたいものを作る、という存在なのだろうと思うのです。

安渕:確かに、例えば自然を見た時、芸術家は実にさまざまな疑問を抱き、「これをどう捉えて、どう見せれば自分と同じ感動を多くのひとに味わってもらえるのだろうか?」と考えるそうです。

そうした探究的な姿勢は興味深いし、それと同じようなアプローチをするSTEAM教育というのもまた、おもしろいものだと感じます。やはり、子ども達の純粋な好奇心に対しては、話をそらしたり、ぞんざいに扱ったりしてはいけないとも思います。

赤司さん:そうですね。大人は忙しいと思うとすぐに後回しにしようとしがちですが、子どもが没頭するのにどれだけ付き合ったり、待てたりするか、というのが大事だと思います。

安渕:そこはもしかすると、大人になってもどれくらい子どもの頃の疑問や不思議だと思う感覚、センス・オブ・ワンダーを忘れないでいるか、ということと関係するのかもしれません。

本当はいつまでもそうした感覚を失わずにいたいけれど、例えば小学校低学年は恥ずかしがらずに質問できたようなことが徐々にできなくなって、年を重ねるになるにつれ、ある意味で“お行儀よく”なってしまい、分かっているふりをしたり、大人が答えにくい質問をしなくなってしまう…。

赤司さん:そうですね。創造性というのは「育つものだ」とよく言われるのですが、私はひとが元々持っているもので、それをどんどん失っていくか、広げていくかの違いなのだと考えています。大人になっても子どもの頃の疑問や不思議さを持ち続けるというのは、クリエイティビティやその手前のイマジネーションを失わずにいた、ということなのではないでしょうか。

金融教育を社会人として役立つものにするために

安渕:さて、教育現場の話題で言うと、いよいよ高校の家庭科で「金融教育」が始まりますね。株式や投資信託などの基本的な金融商品について学ぶほか、家計の資産形成についても触れると聞いています。アクサ生命でも以前から「金融リテラシー向上のための出張授業」として、フィナンシャルプラン アドバイザー(FA)を派遣してきました。札幌新陽高校にも以前お邪魔しましたね。
(参考記事:https://www.axa.co.jp/cr/activity/business-trip-class

これまで日本の教育では教えられなかった内容が持ち込まれるということで、先生達の準備も進んでいると思いますがいかがでしょうか?

赤司さん:一見難しい話ですよね。私自身も「お金って何だろう」とわざわざ考えたことはこれまでなかったように思います。

先日、学校でワークショップをやったのですが、そのなかで「そもそもお金は大事だと思うか?」「お金持ちになりたいか?」と生徒たちに尋ねたところ、かなり突き詰めないと本音を言えない空気がありました。お金持ちであることは悪くはないけど、それを願望として口に出すことははばかられる、という雰囲気です。

安渕:まっとうな願望とは思えない、という感じでしょうか?「お金持ち」はともかく、少なくとも「お金は大事だ」という感覚はぜひ持って欲しいです。

赤司さん:そのようです。一方、先生たちと話していた時には、「お金はただ持っていても何の意味もないので、流通させることの価値やそうすることで意味をなすということを教えたい」という話になりました。

安渕:ある有名な研究を思い出しました。西太平洋の島々で古くから行われている「クラ交易」という活動です。貝で作った装飾品を、島々の間で贈り、それに返礼する形で循環させるという方法です。そうやって、島々に贈与と返礼を介した経済循環を起こしている、ということのようです。これは、まさに貨幣が、モノやサービスを介して、流通することで意味をなすことの本質を表しているのだと思います。

赤司さん:高校の金融教育ではそうしたことをしっかり教えられるといいと思っています。投資信託や保険、税金の仕組みなどを知識として教えるだけでなく、それが社会の流れの中でどういう役割を担っているのかということまで教えるのは重要だと思います。

一方で、生徒たちは税金というのは「取られるもの」であり、投資は「なんだか怖いもの」という感覚があるようです。高校生にもなると、家庭の経済状況も何となく分かってきて、ある意味でお金の話は身近であり、切実な問題だと捉えているのだと感じました。

安渕:なるほど。そうした意味も持つ「お金について」を教えるのは、価値観の押し付けになりかねない側面もありそうですね。

赤司さん:そこが難しいところだと思います。ただ、何も教えずに社会に送り出すというのは、予備知識という“武器”も持たせずに世の中に出すことと同じです。ですから、逆にいろんな価値観があることを伝え、それを踏まえて自分の価値観を持つように促したいと考えています。

多様な自分に気付くことが多様性を学ぶことになる

安渕:さまざまな現実を伝え、間違ったひとつのイメージだけにとらわれないように促すのは大切ですね。

赤司さん:2022年4月から、成人の年齢も満18歳に引き下げられるので、高校3年生の途中で急に大人になり、社会人としての権利を得る反面で責任も負うことになります。そうした意味では、契約や保証とはどういうものかもさまざまな視点から教えていかなければならないでしょう。

そういった現状も踏まえ、札幌新陽高校では、2030年に向けて「人物多様性」というビジョンを掲げ、お互いの多様性を認め合うこと、多様性を寛容に受け入れるというのではなく、自分自身が多様性の一部であるということを感じて生きていこう、というコンセプトで、「いかにあらゆることが多様であるかを知ることから始める」という方針を打ち出しました。

安渕:それはたとえ「私」であったとしても、高校生として授業に出ている「私」や、部活をしている「私」、アルバイトをしている「私」というように、ひとりの中に多様性が当然ある、「たくさんの私」が存在する、ということを伝えるということですね。

赤司さん:そう知ることで、多様性をしっくりと感じられるかと思っています。

また、ウィーシュタインズでつくった「多彩能®︎」という言葉も使って、社会もカラフルであってほしいし、自分の中にもみんなの中にもいろんなカラーがあるということを認めたり、それを増やしたりして、世の中をもっとハッピーにしていこう、という話もしています。

安渕:「多彩能®︎」、すぐにビジュアルが浮かんでくる、素敵な言葉ですね、多彩であること自体が能力だし、どのカラーの能力も等しく素晴らしい、というイメージが湧きました。

人生がマルチステージになるなら「将来の夢」をひとつに決めなくてもいい!

安渕:赤司さんの話を聞いていると、赤司さんにとっての人生100年時代というのはポジティブなのだと感じますが、実際にはどういうふうに受け止めていますか?

赤司さん:実のところ、私は「ポジティブでもネガティブでもない」と思っていて、フラットに捉えています。そう思うのは、ひとつは私が35歳の時にがんになって以来、「そこから残りの人生は、親なのか神様なのか、お医者さんからなのか、誰かからいただいた“おまけ”だ」というふうに考えているからです。

もうひとつは、子ども達と触れ合うようになって、「彼らにあまり楽観的にも伝えられないけれど、ことさら悲観するほど世の中は悪くない。結局のところ未来は自分で創っていくものだ」と思っているからでもあります。

私たちは、子ども達が100年という人生を「生きたいように生きるための準備期間」のお手伝いをしているのですが、そうかといって「人生100年だから頑張る」というものでもないのだと思うのです。長い人生だから最初は力を抜いて走り、後半に体力を温存しておこう、というわけにもいかないですからね。

だから、ポジティブかネガティブかという偏った伝え方ではなく、「人生が長くなるので、今までのように学生として勉強して、就職して社会人になり、リタイアして老後の楽しみを謳歌するのではなく、就職したあとに学生になったりするなど、いろんなステージがあるよ」ということを伝えるようにしています。

人生がマルチステージになるのだから、将来の夢をひとつに決めなくてもいいし、急いで道を決める必要も実はないと言えるかもしれません。

ただ、最近の子ども達は、将来の夢やなりたい職業について聞かれすぎるのか、「決めなきゃいけない」という強迫観念があるように感じます。

安渕:マルチステージの人生だったら、次のステージには次の夢がある、今とは違った実現がある、というのはとても良い考え方です。今の子ども達は、夢を持つことを押し付けられているとすら感じることがありますね。

赤司さん:例えば、将来就きたい仕事を挙げるといっても、今の子ども達が大人になった時にその職業がまだ存在しているかどうかも分からないですよね。

安渕:そうですね。子ども達は逆に大人達に、「今やっていることはなりたいこと、やりたい仕事でしたか?」と聞いてみてもいいのかもしれません。何人が「これこそまさに自分がやりたかったことです」と言えるか…。また、逆に「全く思ってもみなかったことやっているけど、今がとても充実しているよ」と子ども達に伝えられるかですね。

そう考えると、例えば高校を卒業した後に1年間その次のことをじっくり考える期間としてギャップイヤーを設けるのは理にかなっていると言えるでしょう。海外ではそうした制度を設けている国がありますし、日本でもそれを導入する試みが始まっています。例えば、私がファウンダーの一人としてお手伝いしているUWC-ISAKジャパンでは、ギャップイヤーを積極的に取る高校生たちが出てきています。

赤司さん:北欧では小学校や高校入学前にもギャップイヤーのようなものが設定されているところもあるそうですね。一方、日本は98%以上が高校進学をしますが、「本当に高校に行きたいのか」を真剣に考える機会はそう多く持てないと感じます。

本当なら「高校に行きたい!」と思った時に行けた方がいいし、少し勉強から距離を置くという選択肢を持ってもいいのだと思います。本校では、「まだ将来の夢もビジョンもないから何を専門的に学びたいか決められない。大学進学して、宗教や哲学などリベラルアーツを学んで自分がどう生きていきたいかを考えたい」と、進路を自分で選択した子もいます。そうした考え方も素晴らしいですよね。

私自身も、全く異なる文化や環境に身を置くことで多くを学べた経験があるので、留学をしたいと思うようになりました。そうしてもっと専門性を磨きたいと考えています。

安渕:複業の校長先生だけでなく、よりマルチな人生を生きる、ということですね。マルチステージで人生を歩んでいくとなると、やはりどこかで新たに学んでいく時間が必要になるのかもしれません。リカレント教育という言葉は一般的にも知られるようになりましたが、実際に身の回りにもそれを実践するひとが増えています。私自身も、松岡正剛さんの私塾のようなところで学んでいます。

赤司さん:そうですね。そうした機会を作って、それこそ「多彩能®︎」を増やしたいですね。

人生100年時代には子ども達から学ぶことも多い

安渕:では、最後の質問です。赤司さんにとって、人生100年時代を楽しんでいると感じるひとはだれでしょうか?

赤司さん:思い浮かぶひとは大勢いるのですが、人生の先輩だけでなく、私の身近にいる15歳から18歳くらいの、楽しみも悩みも苦しみも抱えながら今を生きているひと達に注目したいと思います。これは、このコロナ禍で強く思うようになったことです。

例えば、オンラインがしやすくなった一方で、「リアルな体験が大事」と言われるSTEAM教育としては、工夫しなければならないことが多々ありました。オーセンティックにこだわるため、ワークショップをする際にはそれに必要な資材を郵送して、リモートでありながら「実際にものを作る」といったこともやってみました。そうした中で、リアルが大事であるのと同時に、リモートだからこそ得られた気付きがあり、ハイブリッドであるからこその可能性も、子ども達の活動を通じて見出すことができました。

他にも、我が校では以前からひとり1台パソコンを使う環境を整えていたのでリモート授業への切り替えはスムーズにできたのですが、当初はやはり「雑談ができない」「授業中にちょっと友達と教え合うといった会話ができない」といった課題に直面していました。しかし、途中からはチャット機能を使ってそれらを自発的に解決していくような姿が見えるようになりました。

やはり今の子ども達は「デジタルネイティブ」と言われるだけあって、使いこなし方が全然違うな、と感心します。これからは、そうした進化に大人たちが頑張ってついていかないといけない時代になるのではないか、と思っているところです。

安渕:確かに、私の知っている会社で、ミドリムシのユーグレナでは、チーフ・フューチャー・オフィサーという役職を高校生に依頼していますね。デジタルネイティブ世代であり、21世紀の終わりまでを自分たちの時代として生きていく高校生と、ぜひ「人生100年時代」について、語り合ってみたいと思います。


対談を終えて

赤司さんとは、ヒューマンライツウォッチ仲間だったり、同じ投資銀行に違う時期に働いていたり、数学好きだったりと、複数の接点・共通点があります。友人としてこれまでもいろんな話をたくさんしてきましたが、なかなか話が尽きることがありません。今回も教育者となってからの赤司さんと初めての本格的な対話なので楽しみにしていましたが、「マルチステージを生きる」というキーワードから話が多方面に広がりました。人生100年時代に取り組む「概念図」みたいなものが頭に浮かんでくる、想像力を刺激する時間で、まだまだ話したりないと思いました。

これは、そもそも赤司さん自身が企業から震災復興の現場に飛び込み、その後起業し兼職の形で、教育界、それも高校の校長に就任するという、マルチステージでマルチキャリアな生き方をしていることに深く関連していると思います。ステージが変わるたびに「必要な能力は何だろう」「どうやって学べばいいだろう」と、かなり考えて実践してきた人だから、人生100年時代に対しても、ある意味じたばたせずフラットに臨むことが出来るのでしょう。そして、高校生たちに対しても多様な学びを提供して、一人一人が多様性を持つ「人物多様性」がマルチステージを生きることに必ず役に立つという確信があるのだと感じました。

「STEAM教育はメソッドではなく、アプローチ・マインドセット」という考えには、私も全面的に同意します。アプリケーションではなくてOS、と言っても良いと思いますが、このアプローチを日常生活を含むすべてに埋め込んで動かすことにより、世界の見方が変わってくる、できることが違ってくる、そして、もともと持っている創造性を大人になっても発揮し続けられるのだと思います。大人が全てを分かっていなくてもいい。好奇心を持ち続け子供たちと一緒に回答を探すプロセスを共有すれば、学びそのものが習慣になってくるという、学校だけでなく職場にも実現できそうな未来への素敵な予感がしました。


赤司展子(写真左)
札幌新陽高等学校 校長、ウィーシュタインズ株式会社 代表取締役。1994年早稲田大学商学部卒業後、三井物産、アルフレックスジャパン、UBS証券を経て2007年PwC Japan入社。財務報告や事業再生アドバイザリー経験を経て、2014年からPwCの社会貢献活動の一環として出向し、福島県双葉郡教育復興ビジョンの具現化を推進。2018年ウィーシュタインズ株式会社を創業し「学びの多様化」に取り組む。2021年札幌新陽高等学校の校長に就任。「複業する校長」として多様な働き方を実践している。一般社団法人STEAM JAPAN 理事、NPO法人インビジブル 理事、社会彫刻家。千葉県出身。

安渕聖司(写真右)
アクサ生命保険株式会社 代表取締役社長兼CEO。1979年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱商事株式会社に入社。東京、仙台、ロンドン勤務を経て、90年ハーバード大経営大学院修了。99年リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。リップルウッド・ジャパン株式会社エグゼクティヴ・ディレクター、UBS証券会社マネージングディレクター、GE コマーシャル・ファイナンス・アジア上級副社長を経て、09年GE キャピタル・ジャパン社長 兼CEO、17年ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社代表取締役社長を歴任、19年より現職に就き現在に至る。兵庫県神戸市出身。

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